新車価格よりも高騰しているモデル
ここのところ価格上昇が著しい中古車たち。これはコロナ禍において新車の納車が滞っていることで、すぐに乗り出すことができる中古車にスポットライトが当たっているというのも大きな理由だが、それとは別に価格が上がり続けているのが国産旧車たちである。
以前から人気の高いハコスカやS30フェアレディZ、TE27レビンといった王道モデルはもちろんだが、ひと昔前では旧車の入門車として比較的買いやすい価格帯だったモデルたちも軒並み高騰しているのだ。
そこで今回はそんな認識のズレを修正すべく、現在の販売価格をチェックして国産旧車の相場感をチェックしてみたいと思う。
スカイラインジャパン(C210系)
5世代目のスカイラインとして1977年に登場した通称ジャパン。デビュー時は折しも自動車排出ガス規制真っただ中のタイミングだったため、ターボやツインカムといったホットなモデルも用意されることはなく、先代のケンメリや先々代のハコスカに比べると地味なイメージとなっていた。
1980年にはようやくターボモデルが追加となり、西部警察のマシンXのベース車となるなどした。だが、どちらかというと不人気で、中古車も手ごろな価格となっていたことから80年代後半くらいまではいわゆる族車のベースになるような車種となっていた。
しかし現在では状態の良いものでは700~800万円台のプライスタグが付けられており、価格応談という物件も珍しくない状態。どちらかというとノーマルに近い車両に高額な価格が付けられているようだが、当時の族車風カスタムの車両も根強い人気があるようだ。
サイバーCR-X
シビックの派生車でありながら、シビックよりも短いホイールベースと軽量なボディということで、初代モデルからホットなFFモデルとして人気を博していたCR-X。
1987年に登場した2代目モデルは、初代のスタイルを踏襲しながらもよりワイド&ローとなったスタイリングを採用。さらに、マイナーチェンジのタイミングで追加されたB16A型DOHC VTECエンジン搭載車の存在によって、一般ユーザーだけでなくジムカーナなどのモータースポーツでも人気を博したモデルだった。
またVTECエンジン搭載のSiRであっても160万円を切る低価格(エアコンはオプションで14~16万円だったが)だったことも、人気の要因のひとつだったことは想像に難くない。
しかし登場からすでに30年以上が経過した現在では、店頭に並ぶレベルのCR-Xは軒並み200万円を超えており、なかには300万円超のものも珍しくない状態だ。
当時は酷使されて使い捨て同然だったことから、状態の良い個体が少ないというのも理由のひとつだろうが、もはやFFスポーツの入門車とは言えない価格なのである。
ソアラ(初代)
元祖スペシャリティクーペとして1981年に登場した初代ソアラは、当時のトヨタの技術の粋を集めて作られた渾身の1台。当時のクラウンよりも高額なグレードも存在するほどの、まさにスペシャルティカーだった。
上級グレードに搭載された2.8Lの直列6気筒DOHCエンジンは、ソアラのために開発されたエンジンとも言われ、トヨタ初の自社単独開発のDOHCエンジンかつ、日本初の2L超の大排気量DOHCエンジンでもあったのだ。
そんなスペシャルティカーであっても底値の時代は解体屋で数万円……なんていうこともあり、ジャパンと同じく族車のベースになっていた時代もあった。だが、現在では最も安価な部類でも200万円ほどから、600万円に迫るものまである状況で、当時の憧れの車両を手にするのもなかなかハードルが高い状態となってしまっている。