ジュリアは五感で楽しめる1台になっている
毎年4月に開催されているカフェ・ド・ジュリアは、アルファロメオ・オーナーズ・クラブのクラブ・ビッシオーネが主催している展示交流イベントだ。そのイベント名からも分かるように、105型および115型と呼ばれるアルファロメオ・ジュリアシリーズが参加対象車となる。
昨今の旧車ブームが追い風となり、ジュリアシリーズの人気も再燃している。そのため、ウレシイことに所有歴が浅い新規オーナーが順調に増えているが、カフェ・ド・ジュリアの参加者のなかには105/115系のアルファロメオに乗って数十年というベテランも多い。
というのも、当イベントを主催しているクラブ・ビッシオーネが1990年に発足し、カフェ・ド・ジュリアを2003年から実施してきたからだ。
今年のカフェ・ド・ジュリアは事前参加受付をしなかったので、開会前に“どのぐらい集まるのだろう?”と思っていたが、これまでと同じように総参加台数が54台という規模だった。そのうちの4台が女性ドライバーで、今後、ますます増えることになるだろう。
例年同様、クーペ、ベルリーナ、スパイダー、ザガートがバランスよく揃っていたので、イベント会場でオーナー取材を敢行してきた。ベテランオーナーに交ざるかたちで新規オーナーも参加していたので、ジュリアを買ってからまだ一年も経っていないというアルファ好きのリアルな声もお届けしよう。
1967年式ジュリア・スーパー1600:守屋公晴さん&匠弥くん(9歳)
守屋さん(52歳)の愛機は、スペシャルショップ「アウトパルコ」の新車プロジェクトで製作された車両で、自作のシートカバーを装備。昨年の5月に購入したのだという。
1999年式のアルファ 156ツインスパーク(左ハンドル/セレスピード仕様)を20年間愛用したものの、イイ感じにヤレてきたので次のクルマを探すことを決意。子どもがいるのでセダンであることがマストで、旧車も視野に入れて次期愛車を探していたらジュリア・スーパーになったそうだ。
ジュリアの魅力は「生き物に乗っている感覚を楽しめる点」とのことで、「アフターパーツが豊富で、旧車の素人でも維持しやすいです。そして、フロントマスクがステキ! 同じ車種なのに、各車ごとに個性があるんですよね。最近のクルマのような威圧感がなく、親しみやすいです」とも語ってくれた。
1963年式ジュリア・スプリントGT:宇田川武哉さん
もはやカフェ・ド・ジュリアの顔になっているといっていいこのジュリア・スプリントGTは、宇田川武哉さん(55歳)の父君である武良氏が1963~1964年に購入したクルマ。かつて輸入車ディーラーとして活動していた伊藤忠オートの“ジュリア・シリーズ輸入第一号車”だ。
ちなみに、武良氏は1963年に鈴鹿サーキットで開催された第1回日本グランプリに1962年式フィアット1500-Sで参戦。スポーツカーB-IIクラスにおいて6位入賞を果たしたレジェンドで、1966~1968年までの2年間に92台のみが生産された、アルファロメオ グランスポルト クアトロルオーテ ザガートも伊藤忠オートから買っている。6台が日本へ正規輸入されたといわれており、武良氏の愛機はそのなかの一台だ。
今年のカフェ・ド・ジュリアに武良氏が不参加だったため武哉さんがジュリア・スプリントGTで参加したのだが、ご子息もジュリア・シリーズを愛用しているのでその魅力について伺ってみた。
「長く続いた車種があるため、さまざまなモデルが存在し、どのクルマもそれぞれのよさがあります。オリジナルの素のモデルでも十分運転が楽しめますね。また、全世界的にマニアが多く、ある程度の部品があるので、レストアが比較的ラクですね」
武良氏のジュリア・スプリントGTはフロントシートこそ張り替えられているが、リヤシートとドアの内側がオリジナルの布地のままで残されており、稀少性だけでなく資料性も高い。
1972年式ジュニアZ 1300:深町忠生さん
往年のアバルトなども愛用している深町さん(64歳)は、2010年にジュニアZ 1300を購入。愛車のご自慢のポイントについて、フロントがアルミ叩き出しとなるザガート製ボディだと語ってくれた。魅力については、ツインチョークキャブレターの吸気音と走りが最高! なのだという。