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下はスッカスカだけど上はドッカンパワーは昔の話! いまどきのタービン交換チューンはメリットしかなかった

ブリッツのターボのイメージ

ひと昔前はパワーと引き換えに常用域で扱いにくくなることも

 ターボ車のタービン交換とは風量の大きなタービンにすることで、もっとパワーを出そうというのが狙い。大きなターボになるということは、その分だけタービンは重く、大きくなるので回りにくくなり、ブースト圧が掛かる回転数が高回転側に移行するのが一般的。

 そうなるといわゆる、下はスカスカだけど高回転はしびれるパワーだぜ、という仕様になる。シルビアのSR20やGT-RのRB26など80~00年代のエンジンでは、低中回転のトルクとのトレードオフで高回転域のパワーを手に入れる感じが強かった。

 その細くなるトルクを補うために排気量アップチューンが施され、SR20なら2.2L化、RB26なら2.8L化などが一般的になっていたのだ。さらにサーキットではシフトアップ時のエンジン回転の落ち込みを防ぐため、クロスミッションを搭載するなど、チューニングがさらに必要となっていくものだった。

ダウンサイジングターボは低中速域はそのままに出力向上が可能

 現代のターボエンジンはちょっと趣向が異なる。ダウンサイジングターボが多くなり、エンジンの排気量は小さい。しかし、直噴化されていることで圧縮比が高く設計されている。そのため過給していない領域でもそれなりに力強いのだ。

 出力不足を補うため、小さなタービンを組み合わせている。低回転から過給して、大排気量エンジンのようなフィーリングをもたらすのだ。そういったターボエンジンの場合、多少タービンを大きくしても低回転のトルクはほとんど失われず、高回転の伸びを手に入れることができる。

 たとえば、現行スズキ・スイフトスポーツ。1.4Lエンジンにターボを組み合わせている。各社から交換用タービンが発売されているが、それほど大きなものではなく純正プラスαの風量。そもそものエンジンが直噴で高圧縮比なので、結構トルクもある。そのため、タービンを大きくしてもほとんどトルクは落ちず、言われなければわからないレベルの変化しかない。

 しかし、高回転でのパワーの炸裂具合は圧倒的なのだ。正直、出力的にはマイナスはなく、プラスしか無い。何度もスイフトスポーツのタービン交換仕様に乗っているが、「あ、これタービン交換しているんですか? どうりで高回転が伸びますね」と言ってしまうくらい、低中回転域での変化はないのだ。

スイスポなら40万円あればターボ化できる!

 スイフトスポーツの場合タービン本体は20万円ほど。取り付けも難しくなくプロショップなら半日程度あれば可能だ。ECUデータの合わせ込みが必要だが、HKSの場合はフラッシュエディターを持っていれば、そのなかに自社タービン用データが入っているので、そのデータに切り替えるだけで走れてしまう。そのため、フラッシュエディターをすでに使っているなら30万円ほどでタービン交換が完了してしまう。

 フラッシュエディターを持っていない、もしくは純正ECU書き換えでセッティングする場合でも40万円あればお釣りが来る世界。それなりの費用ではあるが、一般的にスイフトスポーツでタービン交換すると190~200psくらいが最高出力となる。ノーマルが140psなので大幅なパワーアップであり、その費用対効果として極めて高いのだ。

※写真は86/BRZ用

 これまでのタービン交換というと大掛かりなチューニングの典型だった。しかし、現代では制御まで含めてパッケージ化されて手軽に手を出せる。そもそも直噴エンジンにより低中回転からトルクがあるので、トレードオフになることが少ない。低回転はそのままに高回転が伸びるなら、良いことづくめなのである。もちろん、楽しくてそれだけ踏みまくるとガソリンは減るのでガソリン代は増えるのだが……。

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