AE86やシルビアがドリフトシーンで崇拝されるワケ
そんなドリフトで名を馳せたのがトヨタ「AE86型レビン&トレノ」と日産「シルビア」である。AE86は軽量ボディのリヤ駆動ということで、ドリフト創世記にはメイン車種として君臨した。しかし、ソリッドなサスペンションの扱いは難しく、エンジンパワーも足りないので相当難易度が高かった。
そこで現れたのがシルビアだった。マルチリンクのサスペンションはしなやかに動いて操作しやすい。エンジンはターボもありパワーも十分。パワステも付いている(AE86はオプション)のでカウンターも当てやすいし、そこからステアリングを戻すときも簡単。このステアリング戻しがノンパワステでは難しいのだ。
ただでさえドリフトしやすいシルビアS13/14/15。そのシリーズ中でもっともドリフトしやすいのが兄弟車の「180SX」だ。リヤハッチのガラスの重さがいい感じにクルマ全体のダルさになり、ゆったりと流れてスピンしにくいとドリフターに人気の車種となったのだ。
現代ではトヨタ 1J/2Jエンジンの独壇場
現代の競技では、とにかくパワーがあればドリフトが浅くなってしまったときにもリカバリーしやすいため、どんどんハイパワー化が進む。トヨタ 1J/2Jエンジンがその丈夫さから支持され、1000psも当たり前。日産車のシルビアにも1J/2Jエンジンの搭載が当たり前。いまやボディは異なっていても、1J/2Jエンジンの運動会状態になってしまうほどなのだ。
そして、スピンを防いで深い角度でドリフトするために、フロントタイヤをもっと切れるように改造するのが主流。今や90度近く切れるようにセッティングするのも珍しくなくなっている。
そういった特殊な進化を遂げたドリフトは、日本国内で「D1GP」や「FDJ」などが開催。海外でも人気で、アメリカ、ロシア、中国でD1GPが開催されたり、独自のシリーズが開催されていたりと、さらなる広がりを見せているのだ。