荷物をたくさん積み込めるモデルを紹介
日本の自動車業界において、いまや絶滅危惧種に認定されそうなジャンルのクルマが、5ナンバーサイズのステーションワゴンだ。かつては各自動車メーカーから発売されていたものの、現在、新車で買えるのは2012年から現在まで販売が継続されているトヨタ・カローラフィールダー(カローラツーリングは全幅1745mmの3ナンバー)。
そして2022年内に販売を終える、2011年からホンダ・フィットのワゴン版としてフィット・シャトルの名前で登場し、2015年に2代目として生まれ変わったホンダ・シャトルの2台のみ。ホンダ・シャトルが生産中止となれば、カローラフィールダーだけとなってしまうのだから、コンパクトワゴン派の筆者を含め、寂しい限りだ。
しかし、かつては5ナンバーワゴン全盛!? の時代もあった。中古車なら100万円以下の予算で、日本の狭い道でも走りやすく、けれども荷物を満載でき、それこそアウトドアでも大活躍してくれるような5ナンバーワゴンを手に入れることができる。
ホンダ・シャトル(初代)
候補車の筆頭は、迷うことなく初代フィット・シャトルである。予算100万円以下でも後期型で熟成された1.3Lエンジン+1モーターのハイブリッドの2013年式あたりが選べ、1.5Lのガソリン車であれば2014年式が手に入る。
当時の燃費性能はJC08モードではあるけれど、ハイブリッドで最高26.2km/L、ガソリン車で最高18.8km/Lと、フィット譲りの燃費性能の良さを備えている。
肝心のラゲッジスペースは、開口部地上高が540mmと低く、フロアは奥行き985mm、実用幅1015mm~、天井高960mm。容量はフロア上だけで496L(フロア下はHVが21L、ガソリンは94Lのサブトランクとなる)と、5ナンバーワゴンとは思えない使い勝手、容量を誇っている。
さらにセンタータンクレイアウトによって後席は低く、沈み込ませるように格納でき、奥行きは最大1810mmに達する。リヤドアから大型犬を乗せる、車中泊する……といったさまざまな使い勝手に対応してくれるのだから、いまでもじつに頼りになる5ナンバー本格ステーションワゴンと言っていいのである。
今では手に入らないだろうが、当時はホンダアクセスのシャトル専用のラゲッジ用アクセサリーが充実していて、一時、筆者もシャトルとともに愛用していた。このあたりはライバルにない使い勝手の良さと言えたのだ。
トヨタ・カローラフィールダー(3代目)
トヨタ派なら、カローラフィールダーだ。初代は2000年デビューで、現在も2012年に登場した3代目が継続生産されている。その”現行型”の中古車であれば、最大、2014~2015年式が予算内だ。エンジンは1.5Lと1.8Lがあり、ラゲッジスペースは開口部地上高580mm(ローダウンモデルは570mm)、フロア奥行き970mm、幅最大1505mm、高さ795mmと、幅方向に余裕があるのが特徴だ。
床下全面に深さ60mmのサブトランクを備えているのも使いやすい。樹脂製バックドアだから、開閉も軽々である。後席格納時の最大奥行きはメーカーデータで2025mm。実測のベッド長は1700mmとなる。身長172cmの筆者なら、ほぼ真っすぐ寝られた記憶がある。
JC08モード燃費は1.5Lが19.6km/L(OPのアイドリングストップなし)、1.8Lで16.6km/Lであった。数は少ないものの、2014年式のハイブリッド車も予算100万円以下に入ってくる。スタイリッシュな外観を望むなら、エアロツアラーW×Bがお薦めだ。
ホンダ・フリードスパイク+(初代)
3台目として紹介したのは純粋なワゴンではないものの、5ナンバーサイズの大容量ワゴンと呼べるのが、初代ホンダ・フリードスパイク+である。デビューは2010年で、3列シートコンパクトミニバンのフリードの3列目席を取り払った2列シートモデル。シャトルやカローラフィールダーと比べ、ラゲッジスペースの高さ方向の余裕がポイントだ。
最大2015年式までが100万円以下の予算内になる中古車を手に入れても、2016年以降の2代目、現行モデルとエクステリアデザイン的に大きく違わないので、中古車感が薄いのも魅力!? ではないか。もちろん、ハイブリッドモデルも予算内である。
ラゲッジスペースは開口部地上高480mmと、シャトルよりさらに低く(HVは+35mm)、フロアは奥行き925mm、幅995mm、高さ1050~1185mmと広大。ラゲッジスペースにスロープモードと反転モードの2種類が用意され、大型犬の乗車をはじめ、さまざまな使い方、荷物の積載に対応してくれるところや、ラゲッジスペースをガレージのように使える楽しさもフリード・スパイクならではだ。立体駐車場に入らない全高を許せれば、荷物の積載性という点ではピカイチである。