純正カーオーディオを高音質で迫力あるサウンドにするDSPとは
クルマのなかで快適なドライブミュージックを楽しむには、カーオーディオのレベルアップは欠かせない。その理由は純正オーディオがコスト重視で装着されている場合が多く、音質面では「?」が付いてしまうことが多いためだ。ただしカーオーディオは少しの予算でさまざまなグレードアップパーツが手に入り、音質面を大きく向上できるので、好みの手法でオーディオカスタムを試してみよう。
取り外し不可の純正ナビの普及でヘッド交換が難しい車種が増えている
ただし、カーオーディオのグレードアップを実施するときに大きなハードルがある。それが純正のメインユニットが交換できないケースが増えている件だ。デザイン的にダッシュパネルやセンタークラスターと一体になっていて、アフターパーツのヘッドユニット(DINサイズのモデル群)を交換取り付けできないケースがそのひとつ(とくに輸入車は顕著)。また純正のエアコンや各種コントロール機能をオールインワンしているセンターユニットは、取り外すと純正機能が損なわれてしまうので手が出せないのだ。
純正オーディオが外せない人のための救世主となるDSP
多くのユーザーがここでオーディオのグレードアップを諦めてしまう、もしくは純正オプションなどによるカスタムを試みる程度で止めてしまう理由がここにある。しかし、もうひとつの選択肢としてカーオーディオ専門店などでポピュラーに用いられているのが「DSP(=デジタル・シグナル・プロセッサー)」だ。これは純正オーディオはそのままでも、オーディオの「調整機能」と「パワーアンプの強化」を同時にこなせるお手軽&高機能ユニットだ。純正オーディオが外せない、もしくは純正内装を崩したくないというユーザーも含めて注目してみよう。
DSPは音源のデジタル信号を調律して臨場感のある高音質を実現してくれる
そもそもDSPアンプとはどのようなものか? その名の通りDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)とパワーアンプが一体になったオーディオユニットのことを指している。DSPアンプとはスマホ収録の音源やストリーミング音源、CDなどを再生したデジタル信号をデータ処理するユニットのことで、おもな機能はタイムアライメント、イコライザー、クロスオーバーなどだ。
タイムアライメントは各スピーカーから音の出るタイミングを変化させて、ドライバーの目の前にピタリと音のフォーカスを合わせることに使われる調整機能。目の前にアーティストが現れるような、臨場感あふれる音の再生には欠かせない調整機能だ。純正オーディオでは決して味わえない音空間を再現できる。
イコライザーは周波数帯域ごとにゲイン(入力信号の増幅)を上下させて音のバランスを整える機能。これは純正オーディオなどにも装備されているのでご存じだろう。
さらにクロスオーバーは2ウェイやフロント+サブウーファーなど、スピーカーを複数の帯域に分割(マルチウェイスピーカー)している場合、それぞれのスピーカーに割り振る周波数帯域を調整する機能。全スピーカーの音が一体になって、リスナーであるドライバーに届くように調整することができる。
音の厚みが増してスピーカーからの音離れが向上する!
これらの機能に加えて、外部パワーアンプを内蔵しているのがDSPアンプのもうひとつの特徴だ。純正オーディオはごく小さな出力の内蔵アンプを搭載しているのみなのだが、DSPアンプが内蔵しているしっかりした外部アンプを用いることで音の厚みが向上。さらにスピーカーからの音離れが良くなり、純正だとどうしてもスピーカーから聞こえていた音が、車内の空間から聞こえてくるように改善できる効果があるのだ。
これらの機能を備えたDSPアンプはヘリックス、マッチ、オーディオソン、ビーウィズのセカンドブランドであるプラグ&プレイやフォーカルなどから、数多くのユニットがリリースされているのでチェックしてみると良いだろう。調整機能、内蔵アンプのパワー、出力チャンネルなど、モデルごとに異なる機能を備えているので、愛車に取り入れるシステムに合わせたユニットを選ぶと良い。
DSPは無加工で装着できるので内装をイジらずにできる
またDSPアンプを純正システムに取り付ける際に加工が必要になる点を心配するユーザーもいるだろう。それもご安心を。純正オーディオのスピーカー出力があればDSPアンプ(ハイレベル入力)に入力可能だ。つまり純正オーディオのスピーカー出力をそのままDSPアンプに接続して、DSPで調整+パワーアンプで増幅した信号を再び純正スピーカーに戻してやるというシステムを構築できるのだ。
そのため純正のセンターユニットやスピーカーを一切変更することなく、DSPアンプだけを増設して純正システムに組み込むことができる。各部の加工&交換などは必要なく、DSPアンプを追加して配線の接続を施すだけで設置は完了。純正のインテリアを崩したくないというユーザーにとっても受け入れやすいシステムアップだ。
カーオーディオのシステムアップにも役立つ万能性の高さが魅力
このように純正システムにDSPアンプを組み入れる手法は、調整機能の拡張やパワーアンプ(DSPアンプに内蔵)の追加による音質改善ができる魅力的なシステムアップなのがわかっただろう。しかも純正システムを大きく変更することなく取り入れられるのも大きな魅力だ。それでいて音質面のグレードアップは大きいので満足度も高いだろう。
加えて、その後のシステムアップの可能性も膨らむ。スピーカー交換やサブウーファーの追加、オーディオプレイヤーとしてDAP(デジタル・オーディオ・プレイヤー=ウォークマンなどのポータブルタイプの音楽再生ユニット)を用いるなど、さまざまなシステムアップの可能性が広がるのも魅力。取り付け加工やシステム変更が最小限で済み、システムアップのハードルが低いDSPアンプの追加をきっかけにして、愛車のオーディオの高音質化を始めてみると良いだろう。