新型ステップワゴンのアウトドアでの使い勝手を検証する
6代目となる新型ステップワゴンが5月27日に発売された。押し出し感の薄い、初代回帰を思わせるエクステリアデザインは、街なかではもちろん、アウトドアにも似合いそうだ。室内空間はステップワゴン史上最大。先代になかった2列目キャプテンシートの中寄せロングスライドによって、キャプテンシートでも2-3列目席フラットシートアレンジにより最大長2040mm、2列目キャプテンシートの中寄せ時の幅1030mmのベッドスペースが確保できるようになった。アウトドア、車中泊にもうってつけのMクラスボックス型ミニバンとして、ますます進化しているのだ。
先進運転支援機能がさらに強化され走行時の静粛性も向上
アウトドアフィールドが遠方で、高速道路をひた走るアクセスでも、新型ステップワゴンは先進運転支援機能のホンダセンシングが全グレードに標準装備される。電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能(メモリ―付き)の新採用によって、ACC(アダプティブクルーズコントロール)が0~130km/h対応の渋滞追従機能を手に入れたのだから、ドライバーの運転に関わるストレスは最小限だ。しかも車内の静かさやこもり音のなさも自慢というから、じつに快適に遠路の目的地に到着できることになる。
残念ながらわくわくゲートは廃止されたものの、先代のわくわくゲートより短く、軽量化されたバックドアが、雨、直射日光を遮る大きなひさしになるのもボックス型ミニバンならではだ。
爽やかな「エアー」とラグジュアリーな「スパーダ」どっちを選ぶべきか?
だが、新型ステップワゴンをアウトドアカーとして使うとして悩ましいのが、標準車のエアーにするか、エアロ仕様のスパーダにするかの究極の選択ではないか。ここでエアーとスパーダの大きな違い、仕様差異を紹介すると、まずはエクステリアの雰囲気で、ボディカラーを含めてアウトドアがより似合いそうなのは、穏やかな雰囲気があるエアーとなる。やわらかなブルーのフィヨルドミスト・パールのボディカラーは、大自然のなかのアウトドアシーンがお似合い。ちなみにスパーダに、そうしたやわらかい雰囲気あるボディカラーは用意されていない。
エアーではパワーバックドアが選べないのが悩ましい
そして装備面では、パワーバックドアの有無である。バックドアが先代に比べ短く軽くなってはいても、エアーの非パワーバックドアの開閉は、さすがに女性の手にはちょい重い操作感だ。アウトドアではバックドアの開閉の機会も多いはずで、スパーダのプレミアムラインに装備されるパワーバックドアはできれば欲しいところ。そのパワーバックドアは任意の位置で止めることができ、車体後方にスペースのない場所でバックドアを開閉し、荷物を積み下ろしするシーンではより便利である。
なお、スパーダ以上(※クルマ椅子仕様は除く)に備わる2列目キャプテンシートのオットマンは、アウトドアでは使いにくいのだろう……と思いがちだが、車内のフルフラットアレンジをするまでもなく、深くリクライニングできるキャプテンシートでは仮眠、昼寝する際には有効かもしれない。
スタイル面ではアウトドア向きでなさそうな「スパーダ」に優位性アリか!?
なお、先代ステップワゴンe:HEV、ライバルのノア&ヴォクシーハイブリッドにあるAC100V/1500Wコンセントは、新型ステップワゴンには用意されない。理由は先代にはオプション設定されていたものの、需要(装着)がほとんどなかったからという。その点では、アウトドア適性として新型ステップワゴンはちょっぴり後退している……(泣)。
というわけで、新型ステップワゴンを見たとき、アウトドアカーとしてエクステリアデザイン、ボディカラーに関してはエアーが良さそうだが、パワーバックドアや意外にもアウトドアで活躍してくれそうなキャプテンシートのオットマンといった装備の有無からすると、機能的にはスパーダ(プレミアムライン含む)が優位という、悩める結論となる。
ちなみに、2-3列目席をフラットアレンジした際のベッドのフカフカ感では、エアーのファブリックシートが優位(たわみ量が大きい)である。だが、どのみちベッド面の凸凹を解消するためマットレスを敷いてしまえば、ややシート表皮の張りが強いスパーダ以上の合皮コンビシートとの違いはなくなると言える。