ヘビーデューティの極みとも言える軍用仕様の民生モデルをオマージュ
「トヨタ・メガクルーザー/1996年1月」
1996年に発売されたトヨタ・メガクルーザーは『卓越した機動性と災害時の救助活動でなどで活躍できる』新しい4WD車としてデビューした。そのスタイリングからも、不整地走破性能や登坂性能、さらに5m超の全長と2.2mに迫る全幅ながら、逆位相4WSにより5.6mの最小回転半径を誇る小回り性を兼ね備えていた。
もちろん、このメガクルーザーがオマージュしたと推察できるモデルは、アメリカの軍用車ハンヴィーの民生モデル「ハマーH1」であり、メガクルーザーも高機動車として陸上自衛隊にも納入されていることからも、似たような生い立ちを持つ両車である。エンジンはトヨタの中型トラック、ダイナに積まれた4.1Lインタークーラー付き直噴ディーゼルターボの15B-FTを採用。39.0kg-mの最大トルクを1800rpmで発生させるトルクフルな特性も手伝い、通常のクルマでは走行が困難な場所でも路面を選ばない桁外れの走破性を誇った。
なお乗車定員は前席2名、後席4名の6名乗車となっており、運転席に座ると助手席の乗員がかなり遠くに感じるほど。ちなみに中古車情報サイトでは2台の個体が掲載されており、1台は応談だが、もう1台はメーカー希望小売価格の962万円の2倍の値付けとなっている。
後発モデルゆえにライバル車を研究し尽くしてデビュー
「日産NV350キャラバン/2012年6月」
最後は日本が誇るボックス型商用車の日産NV350キャラバン(現在はキャラバンに名称変更)。オマージュしたモデルと言えば、言わずもがなのトヨタ200系ハイエースである。このハイエースは2004年8月デビューであるのに対して、NV350キャラバンは遅れること8年、2012年デビューであった。日産としては2004年〜2012年まで実質型落ちのE25型キャラバンで200系ハイエースに対抗してきたのだが、もちろん苦しい戦いを強いられた。そこで満を持してデビューさせたのが2012年発売のNV350キャラバンだ。
4ナンバーサイズ(乗用車での5ナンバーサイズ)に収めるという制限のなかで、最大の積載量を狙うとどうしても形状が似てしまうのは致し方ないこと。日産は王者として君臨していた200系ハイエースを研究し尽くし、E25型ではセミボンネット(ボンネットが少し前方に張り出している)を採用していたが、NV350キャラバンでは200系ハイエースと同じ完全なキャブオーバータイプとなった。
同じ4ナンバーの標準仕様(ロングボディ/標準幅/標準ルーフ)のNV350キャラバンと200系ハイエースを比べると、後発のNV350キャラバンのAピラーからDピラーまでのシルエットは、200系ハイエースのピッタリとハマる、まさに200系ハイエースを完全リスペクトした証拠がそこからもうかがい知れる。