日産のハイパーコンパクトSUV
「ジュークNISMO RS」とは
世界的なSUVブームの火付け役として支持されたモデルの1台が日産ジュークだ。2010年に発表されたジュークは、BセグメントのコンパクトSUVとして認知されている。日本には独自の軽自動車文化があるから“日本ではほかにも車種があるでしょう”となるが、ジュークの登場は世界的にも大きな話題となり、現在のSUVブームを切り開いた一台である。
スタイリングは賛否あったが欧州では
2代目がデビューするなど大ヒット!
そんなジュークの登場は衝撃だった。日産はひとクラス上のエクストレイルやデュアリスなどのSUVを発売していたが、それよりも小さいジュークのスタイリングは当時としてはアヴァンギャルドそのもの。クルマの前面は人間に例えられることが多いのだが、どこがヘッドライト(目)でどこがグリル(口)なのか理解しがたいデザインの極めつけは、眉毛のような位置にあるポジションランプ&ウインカー。上と下のライトのどっちがヘッドライトなのか、瞬時に判断することは難解だ。
ただし、これは日産としての挑戦であり、こういう挑戦をするから面白い。外装はもとより内装もアヴァンギャルドであったジュークは、日本市場では少しレアな存在で大ヒットとはならずも、前述した通りコンパクトSUVとしてグローバル市場で成功。2019年には日本では未導入の2代目モデルが欧州をメインに発売されている。
ニスモの技術力を投入した高性能バージョン
「ジュークNISMO」が登場
では、日本では失敗策だったのかというと、そうでもない。日産は2013年にジュークの高性能バージョン「ジュークNISMO」を発売。モータースポーツや高性能車を手掛けるニスモの知見を活かしたモデルであり、ベース車両は1.6L+4WD仕様の「16GT FOUR Type V」となる。
そこにニスモがレース活動での経験が活かされたエアロパーツを装着。両サイドをワイド化してセンター部分の先端を持ち上げることで、空気抵抗を低減させながらもダウンフォースを向上させるフロントバンパーが備わる。そのほか、フロア下面の空気の流入を抑えてリフトを低減するサイドシルプロテクター、長さを延長して角度を最適化することで空気抵抗を低減したルーフスポイラー、そして専用オーバーフェンダーや専用リヤバンパーなどでスポーティさをアップさせている。
インテリアもサポート性を向上して滑りにくいスエード調の素材を採用した専用シートを装備。日産初となる本革とアルカンターラ巻きの専用ステアリング、赤い文字盤の専用メーターなど、各部の質感を高めながらもレッドのステッチなどを配してスポーティに仕立てられていた。
エンジンはターボの過給圧制御をよりスポーティにチューニングして、出力を7kW(10ps)、トルクを10N・m(1.0kg-m)向上させ最高出力147kW(200ps)/最大トルク250N・m(25.5kg-m)を発揮。欧州で徹底的に走り込みを行った専用サスペンションと225/45R18タイヤの組み合わせによって、俊敏なレスポンスと高いコントロール性を実現し、走りのSUVとして人気を集めた。