2014年には運動性能をさらに強化した
「ジュークNISMO RS」がデビュー
そのヒットを受けてもっと本気の仕様が2014年11月に発売。それがジュークNISMO RS(以下、 RS)だ。従来のジュークNISMOが人気を集めたことからこのRSでは専用エンジンを開発。ECUといったコンピュータだけでなくコンロッド・ベアリングの耐久性向上などのほか、直噴ターボとはいえ1.6Lながら、157kW(214ps)/250N・m(25.5㎏-m)を発揮する。変速機も8速マニュアルモード付のエクストロニックCVT-M8としてパドルシフトも採用。さらにフロントシートには、ニスモチューニングのレカロ社製シートが奢られるなど、一段と走りが楽しめるようになった。
もちろんサスペンションも専用セッティングが施され、18インチながらベースとなる17インチタイヤを履くモデルよりも、軽量化されたホイールの採用でバネ下重量を軽減している。ブレーキも専用で、前輪はローター径を拡大し、後輪にもベンチレーテッドディスクを採用。さらに赤く塗られたキャリパーや、ブレーキパッドは耐フェード性を高めるなど、高出力に見合った制動性能も備えていた。
定評あるオールモード4×4-iや車速感応式電動パワーステアリングも専用の仕立てとなりスキのない完成度を誇る。それはボディも同様で、日産追浜工場内での製造時に各部補強を追加。組み立て段階からボディ剛性をアップさせるなど、メーカーワークス直系ならではの効率的なチューニングが随所にみられた。
エアロパーツはジュークNISMO譲りのレース直系の技術力により、空力性能とレーシーなスタイリングに「ニスモレッド」を差し色として散りばめたデザインを採用。インテリアもRS専用メーターなどでスポーツムードが高められていた。ただし、ジュークとしてニスモコンプリートカー第2弾となったRSは、343万4400円(ジュークNISMOは285万750円)という価格だったことから爆売れとはいかなかったが、エポックメイキングなクルマの1台としていまでも語り継がれている。
オーテック仕様があるキックスにも
ニスモ仕様は登場するのか!?
現在はニスモとオーテックが一体化となったことでモデル開発も過渡期になっていると思うが、SUVに始まりコンパクトカーからスポーツカーの頂点であるGT-Rまでコンプリートカーを設定してきたニスモ。ただ単にエアロパーツを付けましたとか、タイヤを大きくしましたでは日本のユーザーは納得しないだろう。日本ではジュークの後継がキックスとなるが、e-POWER搭載のキックスオーテックがすでにデビューしているだけにニスモも……? と期待してしまうのだが……。