聞いたことはあるけど意味までは知らない
難易度高めのカスタム用語10選
ドレスアップやローダウンといったコトバを知っている、または意味を理解している人は多いと思うが、カスタム用語のなかには単語を見聞きしても理解できない言葉が沢山ある。それはまるで何かの暗号のようにも聞こえるが、意味を知れば「なるほど納得!」と合点がいくと思うので、かみ砕いた説明になるがドレスアップで重用される用語とその意味を紹介していこう。
その1.スタイリングを極めるドレスアップ系
【ダックテール】
昭和生まれのクルマ好きならばダックテールといえばナローポルシェのスポーツバーションであるカレラRS、通称ナナサンカレラのテールに装備されていた斜め後方に突き出たエアロパーツを一番に思い浮かべるはずだ。
BMWのE46型M3では、特別バージョンのCSLにもダックテールと呼ばれる形状が採用されていていた。こちらはトランクの後端が跳ね上がった形状だ。こうした走りに特化したモデルのアイテムをオマージュして現在のクルマにも取り入れられている。トランクフード全体をダックテール形状にするのは大変なので、スポイラー単体を跳ね上がらせて対応しているパターンが主流である。
【バッドフェイス】
ボンネットを延長して、伸びた部分を下側に折り曲げてヘッドライトやグリル部分を覆い隠す手法がバッドフェイスだ。その昔は単純に横一直線に曲げていて、ヘッドライトの見え方は薄く、平べったいだけだった。それでも十分にその名の通り悪っぽさが演出できた。ちょうど目を細めて挑発するようなテイストだ。
それがエスカレートしてヘッドライトをつり目風に覆うように形状が工夫されてきた。もはやこれは睨みつけているようなもので、威嚇の効果満点。スパルタンに仕立てるためにはなくてはならない要素である。ちなみにボンネットに手を入れる手間を省いて、ヘッドライトだけに細工してクールに見せる手法がアイラインだ。
【Aライン】
台形をベースにしたエアロパーツなどのデザインアクセントで、どんな素性にも溶け込めて頼りになる造形がAラインだ。Aラインの導入でスピード感を積極的に演出できるフォルムであり、そこに引き締め効果を狙った横フィンを追加することで、スタイリングでさらなるインパクトを与えることができる。それは同時に「A」の文字に近づくことでもあり、フロントまわりだけでなくリヤパートにもセットアップすれば、想像以上に一体感が向上することも見逃せないポイントだ。
【ワークスオーバーフェンダー】
ドレスアップの古くからの手法のひとつであるオーバーフェンダー。ぶっといタイヤ&ホイールがはみ出ることなく履きこなせて、圧巻の迫力が手に入る。ノーマルフェンダーを叩き出して広げるタイプや、それでは物足りなくて、フェンダーを切って鉄板やFRPを継ぎ足して上手いことパテ埋めして自然な感じで加工する手法。
さらには純正でも採用されている品がいいブリスターフェンダーなど、とにかく種類が多彩だ。そんななかで1番パンチがあるのがワークスオーバーフェンダーではないか。昔のツーリングカーのレース車両のようにオーバーフェンダーを豪快にビス留めして装着。その無骨さがすこぶる痛快だ。最近のパターンはワイルドなテイストを今っぽくアレンジしてお洒落にまとめている。
その2.機能性はもちろんドレス効果抜群のイルミネーション系
【シーケンシャルウインカー】
昭和に流行った高級サイクリング車に搭載されていたフラッシャーを思い出す流れる方向指示器。これがシーケンシャル、またはバーティカルと呼ばれるウインカーの点灯方式だ。LEDの普及で点灯のパターン化が容易に行えるようになった産物といえる。とはいえネオンのようにむやみに光らせてはいけない。内側から外側に向かって、なおかつ水平方向のみでの点灯が義務付けられている。流れて見える点灯パターンは、順次に点灯して全部ついたら消えることを繰り返している。
【色温度】
ヘッドライトがハロゲンの時代からHID、さらにはLEDへと進化して注目されはじめたのが色温度であり、単位はK(ケルビン)を使っている。ハロゲンライトの色温度は3200Kから3500Kあたりで赤みを伴った暖色系である。
雨や雪の日にはさらにケルビン数の低い黄色みがかったタイプの方が走りやすかったりする。ちなみに太陽光は5000Kから6000Kで、もっとも明るい色温度は4000K前後と言われている。ケルビン数が増えると白くなり、さらに助長すると青みが増していく。と同時にインパクトも増えるが、残念ながら光量は落ちてしまい、蒼白いインパクトのわりに暗いというオチが付く。ちなみに純正のHIDやLEDの色温度は5000Kから5500Kあたりだ。
【ウイポジ(ウインカーポジション)】
ウインカーランプを方向指示器とハザード機能だけで使うのはもったいない。どうせならアメ車のようにポジションランプと連動して点灯させてしまおう、と思ったのか思わなかったのか定かではないが、ウインカーポジションキットがドレスアップの手法として好評だ。光モノはみんな大好きで、仲間内ではウイポジと呼ばれてドレスアップのひと工夫として重宝されている。手軽に装着できるわりには効果が高い。ポジションランプ点灯時にウインカーを出した場合、反対側は減光したり、消灯したりと設定を変えることができるものもある。
【ユーロウインカー】
欧州車のようにの1度の操作で自動的に3回点滅するシステムの総称がユーロウインカーだ。車線変更やハザードでのあいさつのときにとっても便利な機能であり、なんといってもスマートさがポイントである。
昔ながらの電球式と違ってLEDは点灯するタイミングがいたってシャープ。だからユーロウインカーの効果が冴え渡る。ちなみにユーロウインカーのホーンバージョンみたいなものがあって、追加した専用ボタンをひと押しすると「プ、プ」とホーンが手の動きでは絶対無理な早さ、というか短い間隔で鳴る。これもなかなか技アリだ。
その3.イメージするのすら難しいカスタム偏差値70超えの難解用語
【生足(なまあし)】
車高調やダウンサスを使ったベーシックな手法で車高を落とすことを生足という。これはエアサスやハイドロといった、ドライバーが乗車中に車内から簡単に車高を変化することができるタイプとの差別化を図るために用いる言葉だ。
低くすればするほど、便利さならば圧倒的にエアサスやハイドロのほうが有利ではあるが、使い勝手よりも心意気を重んじての選択。あえて困難に立ち向かい、ワイルドなテイストを主張する。「えっ、この車高で生足なの!?」と言わしめたときの優越感は生足乗り冥利に尽きるというものだ。
【ワンオフ】
数多くの試作品を作り、試行錯誤を繰り返してやっと万人ウケするアイテムを世に生み出す。こうして生まれた製品はとっても優秀でバランスが良い。そんな安心感が得られるモノ作りはとても素晴らしいと認めつつも、他人と同じではどうにも気に食わなかったり、デメリットも受け入れるが、それと引き換えに絶対に譲れないこだわりを導入したいという頑固者も間違いなく存在する。
そんな硬派なカスタム好きのためにワンオフという行為が存在する。まさに自分スペシャル。カタログには載っていない、世界でたったひとつだけのパーツ製作だ。作り手だって人を見て仕事を受ける。そんな信頼関係からなる一点物の満足度は計り知れないものがある。さらに他車流用やFRPを切った貼ったして自作する強者もいるほどで、それが吊るしの既製品とはひと味違うオーダーメイド、またはDIYで仕立てるワンオフならではの醍醐味である。