ネオクラ世代なのに価格高騰とは無縁の平成の大ヒットモデル
90年代に販売されていた、いわゆる“ネオクラシックカー”と呼ばれる車種たち。なかにはスカイラインGT-RやRX-7(FD3S)など、現在では新車価格を大きく上まわるようなプライスタグが付けられて神格化されている車種も複数存在している。その一方で、新車当時に大ヒットしたが故にタマ数も豊富だったこともあって、プレミア価格化がなされていないような車種も存在している。さすがに多くの車種がデビューから30年近くが経過しているため底値というわけではないが、まだまだ手の届きやすい価格帯をキープしているネオクラ車をチェックしてみよう。
欧州でも高い評判を誇った希代のコンパクトカー
「日産マーチ/K11型・1992年発売」
日産のベーシックカーとして長らくボトムラインを支え続けてきたマーチ。2代目となるK11型は1992年に登場し、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するほどの高い評価を集めただけでなく、海外でも「マイクラ」の車名で親しまれ、日本車としては史上初となる欧州カー・オブ・ザ・イヤーも受賞した稀代の名車である。
またベーシックカーとしてだけでなく、モータースポーツのベース車としても親しまれ、ワンメイクレースの「マーチカップ」を筆頭にさまざまなカテゴリーで活躍していた。そんな2代目マーチではあるが、一部のコンプリートカーやチューニングカーを除けば、車両価格10万円台から見つけることができる。さすがにそのまま乗れる年式ではないが、欧州でも大ヒットしただけにパーツは豊富で、安いベース車を購入してコツコツ直しながら楽しむにはうってつけだろう。
FFボーイズレーサーとして人気を博した“青春のスターレット”
「トヨタ・スターレット(EP8♯系・1989年発売)」
日産マーチのライバル車として、長らくしのぎを削っていたトヨタ・スターレット。リッターカーとしてのキャラクターも持っていたマーチに対し、スターレットは1.3リッタークラスの車種としてやや上級なポジションとなっていた。そんなスターレットもマーチと同じくモータースポーツシーンでも愛された1台であり、ホットモデルのターボだけでなく、NAモデルをベースとしたワンメイクレースが実施されていたことを記憶している人も少なくないハズだ。
さすがにFR時代のKP61やFFの初代であるEP71、その後継であるEP82はタマ数も少なく状態のよいものはプレミア価格化しているが、最後のスターレットであるEP91型についてはまだまだ安価で購入できる車両も存在している。こちらもターボの低走行車は高値となってしまっているが、実用グレードのルフレ系であれば10万円台から中古車が存在しているという2極化が進んでいるようだ。
オーソドックスな3ボックススタイルの親父セダン
「日産サニー(B13型・1990年発売)」
日産のスタンダードセダンとして9世代、およそ40年という歴史を誇ったサニー。現在は残念ながらセダン不遇の時代ということもあって、後継車種のティーダラティオ(のちにラティオ)も含めて絶版車となってしまっている。70年代のモデルはFRレイアウトだったこともあって若いユーザーからもある程度の人気を誇っていたサニーであるが、FF化された80年代以降のモデルは、ユーザーの平均年齢も上昇の一途を辿っており、辛うじて残っていたスポーティグレードも最終型の前期型をもって消滅している。
残念ながら地味な存在であるサニーではあったが、ライバル車のカローラに比べて市場に流通している台数が多く、1990年に登場した7代目モデルも複数台が中古車サイトに掲載されている。価格もさすがに底値ではないものの、40万円台ほどから存在しており、90年代らしい凸型のセダンを求めている人にはうってつけと言えそうだ。
ちなみに同年代のカローラの流通台数が少ない理由は、恐らく海外での需要が高く、日本で底値だったころに海外輸出された個体が多かったことが考えられる。サニーも海外で一定の人気を誇った車種ではあったが、やはり“メイドイントヨタ“の看板は大きかったのだろう。