カスタムの究極の選択03:ボディメイク編
「オールペンかラッピングか?」
クルマのボディカラーを変える手段はオールペンかラッピングかに大別される。どちらも用途は似ているが、ふたつは別物だということを理解しておくべきだ。
塗料を使って仕上げるオールペンに対して、ラッピングは塗装と見紛うほどの仕上がりなのに専用のフィルムをボディに貼り付けるだけで完成するため、とても手軽に思える。しかし現実はそう単順に比較はできない。クルマの大きさや、形状の複雑さ、使うフィルムのグレードによっても差が出るが、小さめなクルマでもボディ全体をラッピングすれば80万円前後はかかってしまう。ドアの内側などにも施せば、当然料金も跳ね上がる。オールペンも下地の仕上げ方などで費用には大きな差が出るが、それでもこの金額はベーシックに塗装で色を変えるパターンとそれほど差がない印象だ。
しかも日頃の手入れや保管状態に気を使えば、一生その色が楽しめるオールペンに対して、ラッピングには寿命がある。フィルムメーカーでは3年ぐらいでの張り替えを推奨している。フィルムそのものの耐久性も考慮しなければならないが、そればかりでなく下地になっている塗装面への影響も見過ごせない。ラッピングを剥がすときボディにノリが残ってしまったり、塗装まで一緒に剥がれてしまったりといったトラブルが出る場合があるからだ。塗装面にダメージを与え出す前に剥がすことを忘れてはならない。
もちろんラッピングには、そんなネガティブな部分を帳消しにするほどのメリットだって存在する。オールペンだとクルマを売るときの査定で事故車扱いになってしまう可能性があるが、元に戻せるラッピングならそんな心配はいらない。艶や質感は塗装と遜色ないばかりでなく通常のカラーリング以外にも、メッキやレザー、さらにはサビやカーボンなどをイメージした奇抜な雰囲気にも柔軟に対応できる。しかも飛び石に対して塗装よりも剥げにくい。
一生付き合えるオールペンに対して、元に戻せるラッピング。どちらもその特徴が長所であり、短所な面でもあったりする。そこのところを深く理解しつつ、自分の性格、つまりは飽きっぽいか、新し物好きかなどを鑑みての決断が、失敗のない色変えに結びつく。
カスタムの究極の選択04:フロントマスク編
「リップスポイラーかフルバンパーか?」
顔つきを変えることはドレスアップの常套手段のひとつである。効果が約束されると言っても過言ではないだろう。確実にクルマの雰囲気が変わっていく。ごくオーソドックスな手法としては、フロントリップの導入とバンパーをそっくり交換してしまうメニューが挙げられる。
手軽さで言えばリップが有利ではあるが、換えた感を重んじる場合は俄然フルバンパーが猛威を振るう。だとすればドレスアップ的にはフルバンパータイプのほうが偉いのだろうか? 現実にはそんな単純に優劣は付かない。そこがドレスアップの奥深さである。大前提としてクルマいじりの魅力はインパクトだけでは語れないものだ。控え目なさり気なさを大切にすることもあり、人によって重要視するテイストは異なるものだ。
まずはリップの魅力、それは素性の良さを崩さないことに尽きる。クルマのキャラクターを決定づけるフロントフェイスのラインをほぼ活かしつつ、ボトムエンドだけにアクセントを導入することで違和感のないイメージチェンジが行える。そのクルマのフォルムが大好きならば、あえて大技を導入することなく、微調整感覚で手を入れるのはアリだ。リップのなかにはバンパーの形状に沿って自然な感じでボリュームを加えるタイプや、ローダウンでの路面との接触を回避しやすい薄いフラップタイプ、さらには最初からダメージを受けることを想定した衝撃に強いラバータイプなどが選べる。
一方のフルバンパータイプはクルマのイメージは一変する。それが最優先項目である。デザインの工夫に加えてノーマルにはなかったダクトを追加したり、ガッツリ開口部を広げたり、さらにはサブランプを導入したりと、あらゆる手法を活用して造形されている。当然ボディに合わせて塗装もしなければいけないし、フィッティングには手間はかかる。しかしノーマルでは味わえない独自のスタイリングが手に入る。
どちらがいいかはクルマとの向き合い方や、好みで判断するしかない。余計なことかもしれないがノンエアロという選択肢もある。大いに悩んで答えを出そう。