ホンダ・アスコットイノーバ
さて、ここからはさらに、思いつくままに1992年登場のクルマたちをピックアップしていきたい。
まずはホンダの「アスコットイノーバ」。当時のアコードの兄弟車だった4ドアセダン、6ライトキャビンのアスコットのバリエーションとして1993年3月に登場し、サッシュレスドアでハードトップを名乗っていた。カタログではスタイリングを強調したカットが多いが、いま見ると、クリーンかつクーペライクなフォルムが美しい。
トヨタ・カローラセレス/スプリンターマリノ
スタイリッシュ系では、トヨタが1992年5月に発売した「カローラセレス」/「スプリンターマリノ」があった。車名のとおりカローラ/スプリンターの派生モデルで、一世を風靡した「カリーナED」のデザイン手法を採り入れた、いってみればスタイリッシュ4ドアハードトップ。
「このスタイル、この走りが、心躍らせる。セレス」「マリノはトヨタの4ドアスペシャリティです。」と、どちらもカタログの最初でそう謳い、文字どおり特別感を打ち出しにしていた。
三菱エメロード
特別感といえば三菱「エメロード」(1992年10月)もそうだった。当時のギャランの派生モデルだったが、「ジュエル・クライマックス・エメロード」とし、英文では「BRILLIANT 4DOOR SPECIALITY」と記されている。当時のブームのひとつだったスタイリッシュ4ドアハードトップのなかの1台で、「緑のなかを、南へ。フロントグラスを流れる風が、退屈な日常をつれ去っていく」などと、コピーも思う存分に雰囲気重視になっている。
日産レパードJ.フェリー
雰囲気ということでは4ドアセダンに生まれ変わって3代目となった「レパードJ.フェリー」も、北米市場向け「インフィニティJ30」を日本市場に展開しただけあり、じつに濃厚な個性を発揮したクルマだった。高級な紙質のカタログを開くと「美しい妻と一緒です。」のコピーが目に飛び込んでくるが、旧来の日本的な価値観と超越したような、ハイクラスなムードが持ち味のセダン。もちろんもっとも似合ったのはカタログにも出てくるようなアメリカの風景だろう。