シンプルゆえ自分でもかなりの領域までイジれるのが旧車の魅力
クラシックカーにできるだけ長く、かつ安全に乗り続けるためには、適切な部位を適切なタイミングでメンテナンスする必要がある。定期的にメンテナンスすることで愛車の故障を未然に防ぎ、結果的に修理費を節約できたり、安全なドライブを愉しめたりするからだ。そして、車歴が長いクラシックカーは、メンテナンスフリー化が進んだ昨今のクルマよりもどうしても整備頻度が高くなってしまう。これは自明の理である。
命にかかわるのが自動車、いいかげんな整備はダメ絶対!
そこで、クラシックカー生活のランニングコストを下げるために、お金ではなく時間と手間をかけてDIYメンテに挑戦し、愛車の完調を維持するのもアリだといえる。だが、そのときに注意したいのが、自分の技術レベルがどのあたりにあるのか? をちゃんと知ることだ。そこを客観視できないと、路上で愛車が派手に炎上、ブレーキが抜けて前車に追突みたいなことになるので注意したい。
技術レベルや持っている工具は人それぞれなので、一概にクラシックカーのDIYメンテでやって良いこと、やるべきでないことを挙げるのは難しい。今回は少しだけ工具を持っているメンテナンス初心者のケースを主軸にしつつ、そこに自宅にプライベートファクトリーがある自動車趣味の大ベテランの場合は……というアペンディックスを記す形で説明しよう。
日常的な消耗品やオイル交換、タイヤ交換くらいは自分で可能
クルマの来歴にかかわらず、定期的に交換する必要がある部品を挙げてみると、エンジンオイルとオイルエレメント、プラグ、バッテリー、ワイパーゴム、灯火類の電球、ブレーキパッド、ブレーキフルード、クーラント、タイヤといった感じになる。昨日クラシックカーが納車されました、というような超ビギナーは油脂類および灯火類の目視点検ぐらいで済ませたほうがいいが、少しだけ工具を持っているメンテナンス初心者はもう少しだけ頑張って大丈夫だ。
具体的に説明すると、エンジンオイルとオイルエレメント、プラグ、バッテリー、ワイパーゴム、灯火類の電球を交換する、ウォッシャー液、ブレーキフルード、クーラントを補充する、タイヤの劣化や空気圧をチェックする、タイヤ/ホイールをローテーションするぐらいのことはやってもいいだろう。
ブレーキパッドの交換も、工具が揃っていれば(そして自分のクルマであれば)チャレンジしてもいいのだが、作業の途中でブレーキフルードがあふれてきたり、グリスを塗布したりする必要があるので、やはりメンテナンス初心者がDIYではやらないほうがいいだろう。
キャブやデスビの調整はちょっと上級編
ちなみに、当時のオーナーズマニュアルに記されていたような整備はメーカーが想定していた、と考えると、油脂類およびプラグなどの交換、液類の補充以外に、知識さえあれば、ディストリビューターのポイント調整、キャブレターのアイドリング調整ぐらいのことはやっても大丈夫。だが、ディストリビューターとキャブレターはイジる前に整備に、関するしっかりとした知識を持っている人に相談することをオススメする。
プロの主治医に相談できる関係を築くのが大事
その一方で自宅にプライベートファクトリーがある自動車趣味の大ベテランは、エンジンやトランスミッションをバラバラにしてオーバーホールする、足まわりのブッシュを圧入する、ボディを溶接する、といったことまで普段から平然とやっているので、筆者がとやかく言うレベルではないのであった。
クラシックカーに乗っていると日々さまざまなことがあるので、常日頃のDIYメンテで培ったノウハウが出先でトラブルが発生した際の応急処置に役立つことがある。役立つことがあるものの、とにかく安全第一なので、少しだけ工具を持っているメンテナンス初心者は、走る、曲がる、止まるにかかわる重要な部分の整備はプロにオーダーしたほうがいいだろう。クラシックカーをイジる前に、知識を持っている人に相談できる環境を整えることも大事なので、その道のプロと日頃から仲よくしておくことも推奨しておく。