ほかの趣味に比べてクルマはお金がかかる……
チューニングにタイヤなどの消耗品そしてサーキットの走行料金。愛車を思い切り走らせるには何かにつけてお金が必要だ。もっともケチっては楽しさが半減したり危険性が増したり、あまりいい結果に結び付かないことも容易に想像できるはず。
すでにクルマを手に入れている人は別として、今からスポーツ走行の相棒を手に入れるなら、車両価格で節約するという手はどうだろうか。とはいっても出費を抑えるために好きでもないクルマを買うとか、リスクを覚悟したうえで過走行車や事故車を狙うなんて話ではない。注目したいのは標準的なグレードに対しての廉価版。装備が簡略化されているとかエンジンのスペックが低いなど、安さの理由はあるが面白さは見劣りしないクルマを探してみた。
イジるなら競技ベースグレードが狙い目な「GR86 RC」
まず現行モデルでいえばGR86。トップグレードのRZが334万9000円なのに対しRCは279万9000円、エンジンやミッションはまったく同じながら55万円もの価格差がある。RCはホイールが小径だったり、MTのみの設定なので『アイサイト』付きは存在しなかったりするが、カスタムしやすいうえサーキット中心の使い方なら何も問題はない。
それどころか装備を削ったせいで重量はRCが10kg軽く、燃費もカタログではRZをごくわずかながら上まわっている。
一部装備が採用されないが走る楽しさは健在な「ND型ロードスター S」
ND型のロードスターも同様で、ベースグレードに相当するSが6速MTで262万3500円、Sスペシャルパッケージは284万200円となり、Sレザーパッケージが319万1100円だ。6速MTで比較するとリヤのスタビライザーやLSDが非搭載となるが、パワートレインに変わりはない。
4気筒モデルでもイジれば楽しくなる「GRスープラ SZ」
チューニングを前提に考えるのであれば、GRスープラの最廉価グレードSZも選択肢。最上級グレードのRZと比べると直6や直4の違い、そして排気量が1000ccも異なると比較の対象にならないが、同じ2000ccエンジンのSZ-Rで比較100万円を超える価格差がある。確かにパワーは258psと197psと、数字だけ見ればそれなりの違いがある。だが、ブーストアップなどで追い付くことは容易であり、車重でも40kgのアドバンテージがある。
ワークスからパーツが流用できる「アルト(先代NA)」
厳密にいってしまうと車種が違ってしまうものの、HA36系アルトのNAも押したい1台だ。足まわりやボディのチューニングパーツは大半はワークスやターボRSと共用で、絶版となったワークスが新車を超える価格に値上がりしているのに対し、NAは5速MTで40万円~と本格的なサーキット仕様に作り上げてもお釣りが出る。
AT限定免許で運転できるAGSはもっと安く、最近はチューニングパーツも増えてきた。軽自動車だけにタイヤ代を始めとする維持費も安く、サーキット専用のセカンドカーとしても所有しやすいのが特徴だ。
レア車なNAエンジン搭載「MR2(SW20)」
最後は古く生産台数も多くないため見つけるのが難しいが、SW20 MR2の4型~に存在したNAエンジン搭載モデル。初期モデルは165psとやや力不足を感じるパワーだが、3型から180psで4型になると200psまで大きく進化する。数値だけじゃなく可変バルブタイミング機構の採用や、サージタンクやエキゾーストマニホールドの見直し、リヤスポイラーのデザイン変更なども行われた。
該当するモデルは300万円オーバーというプライスが付けられている個体がかなり多く、走りのベースとするには少し勇気が必要かもしれない。だが、同じMR2でもターボに負けない魅力があるのは確かだ。