6月5日に福島県で開催された「サウンドミートイン東日本いわきステージ」
4月の「まいど大阪」や「イーストジャパンサウンドコンテスト」、5月の「ヨーロピアンサウンド カーオーディオコンテスト」と、暖かくなってきて以降、各地でカーオーディオのイベントが行われている。僕も6月5日(日)に福島・いわきの四倉海水浴場駐車場で行われた「サウンドミートイン東日本いわきステージ」にジャッジとして参加してきたので、その立場から、カーオーディオのイベントってどんなことをやってるの? を明らかにしていきたいと思う。
そもそもカーオーディオのイベントって?
はたから見ていると、多くのクルマが集まって、それぞれのクルマに引っ切りなしに乗り降りしている怪しい集団としか思えないカーオーディオのイベントだが、何をしているかというと、基本的にはそれぞれのクルマの試聴。コンテスト形式の場合は、あらかじめ課題曲が決められ、審査員の先生たちが各車の音を聴きながら採点していく。採点項目はそれぞれのイベントによって異なるが、周波数の帯域バランスだったり、音場の再現性の高さだったり、分解能だったりレスポンスの良さだったりする。それらの合計点が高いものが、上位に入賞して表彰されるしくみだ。
コンテストだけでなくプロにアドバイスをもらえるのも魅力
サウンドミートイン東日本の場合は、参加者全員が1位を目指してピリピリしているガチなコンテストとは違って、もう少しゆるい集まり。僕がジャッジを担当しているのは「クリニック・コース」で、参加者は採点も気になるが、それよりも現状の音はどうなのか、どうすればさらに音が良くなるのかのアドバイスを目的に参加している。
そもそも、音楽を良い音で聴くことがカーオーディオをグレードアップする意味だし、それぞれのクルマに音の個性があっていいはずなので、それをひとつの基準で審査して順位をつけるのはナンセンスと思っている。それに曲によってイコライジングなどの調整を変えるわけではないので、「課題曲」なんて言いかたはおかしいと思い、僕の場合は「判断の基準にこの曲を使います」という意味で「基準曲」にしていて、その曲を基準に判断。どこをどうすればさらに良くなりそうかをアドバイスしているというわけ。
ちなみに今回の基準曲は昨年11月に出した「カーオーディオパーフェクトセオリーブック5」の付属CDに収録された2曲が5月からハイレゾ配信されたので、それを使用している。スタジオのモニターで何度も繰り返して聴いた曲なので判断しやすいのだ。
ウルトラハイエンドからビギナーまでコースは多数
クリニック・コース以外のほかのクラスは、機材金額150万円以上のウルトラハイエンド・コースからヘッドユニットとスピーカーを交換しただけのビギナー・コースまで多数。お金をかけまくってオーディオをグレードアップしているクルマから、ヘッドユニットの内蔵アンプでスピーカーを鳴らすだけの簡単なシステムのクルマまで、幅広く参加できる。
また防潮堤を隔てた海側の別会場では、外向け音圧コースやウーファー音圧コースのジャッジも行われていて、これがほかのイベントとは大きく異なる点。音圧系のクルマは音質審査の邪魔にしかならないので一緒にやることは滅多にないのだが、震災後に作られた高い防潮堤のおかげでほとんど影響なく運営できる。会場の四倉のあたりもかなりの被害を受けたようだが、これも震災の功罪か。
クルマの中で良い音で音楽を聴きたい人も、音圧でドンドンいわせたい人も、同じカーオーディオを趣味にしている人なんだから分け隔てなく同じ場所に集まることの、なんて素晴らしいことか。サウンドミートイン東日本の良さは、ここにあると思う。
オーディオだからこそブースでの試聴体験は嬉しい
ほかにも、メーカー(インポーター)やショップのブースがいくつか。イースコーポレーションやエタニ電機、オーディオテクニカ、ビーブレイド、ポイントアップ、ユーズダイナーなどがテントを張って新製品を展示したり、デモカーを視聴させたりしている。別会場にはダイコックのデモカーも。
ショップへ行っても滅多に聴くことができない製品を用意していたり、ケーブルを差し替えて音の違いを確認できたり、それぞれが独自のデモを行っていたので、各社のブースを回るだけでも参考になる。各コースに参加せずにギャラリーとして参加するのもOK(ただしコロナ以降は事前登録と検温が必要)なので、ちょっとでもクルマで音楽を聴くことに興味があるなら、ギャラリーとして参加するだけでも意外に楽しめると思う。