平川 亮の乗るTOYOTA GAZOO Racing 8号車が優勝
2022年6月11日~12日に開催されたル・マン24時間レースは、予選から1位2位を独占したトヨタが、決勝のゴールラインまで同じ順位を守り切った。スタートから一度も後続に1-2のポジションを譲ることなく、地元フランスのアルピーヌを除けば唯一のワークス・チームとはいえ、これで5連覇の偉業を果たした。
少しヒヤリとするシーンがあってもスムースに復帰
今回の決勝レースで、トヨタGR勢にヒヤリとする瞬間が訪れたのは、7時間目にセバスチャン・ブエミ駆る#8号車がミュルサンヌでスピンと場内放送で報じられたとき。このときはピットで念のためチェックを済ませたあと、すぐに戦列復帰した。
もうひとつは朝8時ごろの16時間目、#7号車がインディアナポリスとアルナージュの間で突如スローダウンして停止、ホセ・マリア・ロペスは何とかマシンをピットまで戻した。一時は緊張感が走ったがシステム系の不調ということで再起動により復調。折からのイエローコーションも幸いして、#8と同一ラップでレースに戻ることに成功している。いわば不測の事態がそもそも少ない上に、起きても対処が素早い。その意味で、じつにトヨタらしい勝ち方ともいえた。
大きなトラブルのない前半でトヨタがリードを確保
実際、決勝レースの1/3を過ぎるころからポジションを上げたのは、細かなトラブルやインシデントに動じない、経験豊富なチームだった。マシンは26台の「オレカ07」と1台の「リジェJSP217」、エンジンは事実上ギブソンのワンメイクとなったLMP2では、エマニュエル・コラールが走らせる#5ペンスキー・レーシングがクラス首位を走るJOTAレーシングを、日暮れの前後を挟んで追撃。
同じころハイパーカークラスでは、グリッケンハウスの#708オリヴィエ・プラがテルトル・ルージュ出口でスピンを喫し、なんとかピットに戻るがリヤからフロア下にダメージを負い、ピット奥でリヤカウルを外しての作業に。10分近くかかってふたたびコースイン、その間にトヨタ勢と5ラップに差は開いた。アルピーヌ#36はクラッチの不具合で一時は30位以下にまでポジションを後退させ、LMP2に囲まれて苦しい展開となってしまう。
LMGTクラスでも夜半、序盤からクラス首位を快走していたコルベットC8.Rの#63がサスペンションを傷めてピットイン。ピットの奥で作業が始まり、1時間以上かかってコース復帰するが、トップをポルシェ勢に譲ってしまう。
今年の24時間の前半はフルコース・イエローとなるようなクラッシュや、それに伴うリタイヤがきわめて少なかった。セーフティカー中断を一度も挟むことなく12時間が経過したとき、トヨタは昨年よりはるかに多い199ラップを刻んでいたほどだ。つまりミスやトラブルの少ないチームほど先に逃げていきやすい、そういうコンディションだった。