安全装備が充実したクルマの普及は加速している
ここ最近、高齢者ドライバーが起こした事故のニュースが頻繁に流れている。そうした事態を国が黙って見ているわけではない。高齢者ドライバーの交通事故防止対策のひとつとして、衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)などの先進安全技術によってドライバーの安全運転を支援してくれる「セーフティ・サポートカー」、略してサポカーの普及啓発を官民一体で取り組んでいるのだ。
サポカーにも種類がある
そのサポカーにも区分があり、まず衝突被害軽減ブレーキを搭載した「サポカー」。そして衝突被害軽減ブレーキに加え、ペダル踏み間違い急発進抑制機能など、先進安全技術を拡大した、とくに高齢者ドライバーに推奨するクルマを「サポカーS」と定義している。
ちょっとややこしいのだが、その「サポカーS」には上記の機能のうち、対車両のみで作動速度域が30km/h以下の衝突被害軽減ブレーキを搭載した「サポカーS」ベーシック、衝突被害軽減ブレーキの作動速度域が30km/h以上になる「サポカーS」ベーシック+、さらに衝突被害軽減ブレーキが対歩行者対応になり、車線逸脱警報、先進ライトなどが加わった「サポカーS」ワイドの3種類がある。
サポカーの高齢者による事故低減効果が功を奏すのはこれからだが、高齢者が新たにクルマを購入する際は、サポカーを選択の目安にすると安心であることは言うまでもない。
なお、2022年5月から高齢者ドライバーの事故を減らすため、道路交通法の改正によって「サポートカー限定免許」制度が始まっている。つまり、高齢者ドライバーの免許返納以外の新たな選択肢というわけだ。
各車の代表的なサポカーS認定車とは
とはいえ、サポカーという響きから、ジジババ向けの地味~なクルマがサポカーなのかっ? という疑問があって当然だが、じつはそんなことはまったくない。要は、運転支援機能が充実したクルマがサポカーなのである。ここでは、これまで乗っていた中上級車からランクダウンしたと思われない、中高年ドライバー向けの、ちょっぴり見栄も(!?)はれる上級感もあるサポカー、そのなかでもサポカーSに認定されたクルマを自動車メーカー別に紹介したい。
トヨタ:話題のランクルも!
サポカーSに相当するのは、ミニバンのアルファードHVエグゼクティブラウンジは極端にしても、新型ノア&ヴォクシーHVがある。セダン派ならカムリWSレザーパッケージ、先進感に満ちた水素自動車かつ、ハンズオフドライブも可能なMIRAI Zエクスクルーシブパッケージ アドバンストドライブ。SUVであればカローラクロス、C-HR、ハリアー、そして最新の電気自動車、bZ4X、RAV4 PHVにもサポカーS対象車がある。ちなみにランドクルーザーも、である。
日産:注目を集める新型フェアレディZも対象
日産のサポカーSワイド対象車は電気自動車のアリア、リーフ、エルグランド、スカイラインなどがラインアップ。かつてフェアレディZに憧れた高齢者なら、お薦めするかどうかは別にして、新型フェアレディZも対象車である(車種によっては一部グレードのみ)。
ホンダ:先進感のあるホンダeや新型ステップワゴンも!
ホンダのサポカーS対象車で、中上級車からのダウングレード感のない車種と言えば、アコード、インサイト、オデッセイ、シビック、ヴェゼルなどになる。小さくても高級感、先進感あるクルマがいい、というなら電気自動車のホンダeという選択肢もあったりする。ちなみに新型ステップワゴンももちろん対象車である(車種によっては一部グレードのみ)。
スバル:アイサイト普及でほぼすべて対象車
「ぶつからないクルマ?」の先進運転支援機能としてアイサイトをいち早く用意したスバルは、ほぼ全車がサポカーSワイドの対象車となる。なかでもアイサイトXを標準装備したレガシイアウトバック、そしてアイサイトXを装備可能なレヴォーグ、もちろん、トヨタbZ4Xの兄弟車である電気自動車のソルテラも対象車である。
マツダ:全車サポカーSワイド! 話題のSUVがオススメ
マツダ車はマツダ2からCX-8に至る全車、全グレードがサポカーSワイドの対象車だ。中上級車からのダウングレード感のない車種で、しかし大きすぎない高齢者向けのクルマはCX-30、電気自動車のMX-30、CX-5あたりがお薦めだ。
三菱:注目のPHEVモデルが有力候補だ
三菱自動車も基本的に乗用車は全車、全グレードがサポカーSワイドとなる。ダウングレード感がないモデルと言えば、PHEVのアウトランダー、同エクリプスクロスが有力候補となるだろう。
先進感のある電気自動車は選択肢としてアリだ!
で、上記のサポカーS対象車のなかから、中高年の子離れした筆者が選ぶとしたら、おもにひとり、夫婦で乗ると考えれば、さすがにアルファードのような大型ミニバンは必要ないと考える。
自宅が一軒家であれば(自宅に充電設備を付けるとして)、クルマ好き人生の最後(!?)に乗っておきたいクルマとして電気自動車はどうか。なかでもホンダeは高齢者でも運転しやすいサイズでありながら、すべてが先進的。極論すれば、アコードクラスから乗り換えても、それは先進的選択であって、ダウングレード感はないと言っていい。
同様に、ちょっとサイズは大きくなるものの、日産アリア、リーフ、トヨタbZ4X、スバル・ソルテラ、マツダMX-30といった電気自動車もなかなかだろう。中高年ドライバーとして、クルマの未来や電気自動車を知らずして死ねるかっ……というわけだ。電気自動車は、同クラスのガソリン車に比べ高価だから、たとえばスカイラインからリーフに乗り換えても、より先進的なクルマへの乗り換えということで、タウングレードをほぼ感じさせないメリット(!?)もあったりする。
落ち着いたセダンタイプであれば、トヨタ・カムリ、アウトドアが趣味ならばトヨタRAV4 PHV、スバル・レガシイアウトバック、マツダCX-5、CX-30、アウトランダーPHEVあたりも候補に挙がるだろう。