「横浜国際消防・防災展」から多彩な特殊車両をご紹介
6月8日~9日に「横浜国際消防・防災展」が開催された。これは大規模な国際イベント「IFCAA2022 YOKOHAMA」の併設展示会として、消防・防災資器材などへのより一層の理解を深める目的で実施されているものだ。パシフィコ横浜展示ホールAがメイン会場、沢渡中央公園(横浜市民防災センター前)がサテライト会場となり、Auto Messe Web的に気になるクルマたちは後者のほうで披露された。
神奈川県警・第一機動隊の高性能救助車仕様ウニモグ
まず注目したのは、神奈川県警察本部が出展した高性能救助車の「ウニモグ」である。現在、横浜にある神奈川県警・第一機動隊と川崎にある第二機動隊が1台ずつ運用しており、展示されたのは第一機動隊所属のウニモグだ。
2005年式のダイムラー・クライスラー製で、全長6200mm×全高3270mm、排気量が4249cc、乗車定員が5名、装備品がウインチ装置と牽引フックなど、というスペックとなる。その特徴は、タイヤの空気を抜き、地面とタイヤの設置面を大きくすることで悪路でも走行が可能な点で、再度空気を入れる際は車両に付いているコンプレッサーを使用する。また、傾斜角45度まで走行可能である点もポイントだ。
そして、水深約1mまで走行でき、水中での走行時は運転席側の煙突からエンジンにフレッシュエアを取り込む。以前、茨城県で発生した鬼怒川氾濫時は、宮城県警察のウニモグが出動。水深105cmを走行し、救助活動を行った。
ウニモグを多目的災害支援車として活用
続いて紹介するのは、防災グッズや防災用品の専門会社である船山株式会社が出展した多目的災害支援車のウニモグである。今回は、ここ最近多発している風水害・土砂災害時に威力を発揮する装備を満載し、こういうことができます! ということをアピールするサンプルケースとして展示。
おもな搭載品は、PTO発電機、大口径排水ポンプ、ハイパワーLED投光器、キセノンサーチライト、監視カメラ、多用途クレーン、パワーゲートで、リヤエンドに被災者を収容できるスペースが確保されていた。
全長8780mm×全幅2480mm×全高3700mmでホイールベース3850mm、前後のトレッドは1920mm、最小回転半径は8.15mあり、そして最低地上高はなんと460mm! 車両重量が6720kg、車両総重量が10290kg(いずれも指定装置含む)、乗車定員は2名だ。
搭載されるエンジンの型式はOM934LAで、総排気量5100cc、最高出力が170kW(231ps)/2200rpm、最大トルクが900Nm/1600rpmというスペックをもち、最高速度は約100km/h。前進8段/後退6段のマニュアルトランスミッションで最終減速比が6.94、タイヤサイズは前後とも365/80R20となる。
スーパーレンジャーで実動している救助工作車
横浜市消防局直轄の特別高度救助部隊「スーパーレンジャー(SR)」の実動部隊が使っている機動第2救助工作車も展示され、数多くのファミリーや消防車両好きが内部を見学していた。この大型特殊車両は、人命救助、特殊災害といった多様な災害に対応するための救助工作車で、多種の救助用資機材を積載し、ウインチや照明装置なども装備している。
保土ヶ谷区に本拠を置くスーパーレンジャーは年間700回ほど出動しているそうで、11人のチームで4台の特殊車両を運用しているとのこと。火災の場合は機動第1救助工作車と特別高度工作車(ブロアー車)の2台、救助が必要な場合は機動第2救助工作車と牽引工作車の2台で現場に向かっており、それとは別に総合指揮車も出動しているという。