ゴールデンウィークに子どもたちの憧れ「働くクルマ」が大集合!
モビリティという存在なくして、わたしたちの街、そして暮らしを支える術はありません。安心安全に移動できるのも、何不自由なく生活インフラの有り難みを享受できるのも、毎日美味しいものを食べられるのも「働くクルマ」があってこそ成り立っているのです。治安の面でも同様です。一人ひとりのドライバーに委ねられている交通ルールの遵守ですが、どこかで見守られてれている必要はあるものです。
人と自然とモビリティが共生できる「モビリティリゾートもてぎ」で開催
そんな、生活人に密着した「働くクルマ」が一堂に会するイベントがありました。開催されたのは「ツインリンクもてぎ」のオープンから25周年を迎えた今年、次のステージを目指し名称を変更し、新たにスタートを切った「モビリティリゾートもてぎ」です。モータースポーツを核としている点に変わりはありませんが、開場25周年を機に、アウトドアブームを追い風とした、人と自然とモビリティが共生できるアクティビティの打ち出しを明確にしています。それは、今年のゴールデンウィークにモビリティリゾートもてぎを訪れていたお客さんの楽しみ方にも表れていました。
バイクやカートのレース観戦などモータースポーツの興奮と、自然と触れあえるアスレチックがほどよく共存していました。疲れたなら中央広場のグランピングを模したテントエリアでひと休み。みな、思い思いで過ごしていました。コンテンツはGW期間中、数日間に渡って開催。なかでも目玉は「働くクルマサーキットラン」(5月3日)と、「街をまもる働くクルマ大集合」(5月4日)でした。取材班は5月4日に訪れたのですが、黒山の人だかりだったのが、街をまもる働くクルマたちの展示エリアです。
クルママニア垂涎の懐かしのモデルがパトカーとして活躍中!!
なかでも、栃木県警が誇るパトカーと白バイの展示は、自由に撮影ができるとあって大人気。お巡りさんも来場者と気さくに交流していました。日常では喫緊な場面でもないとなかなか言葉を交わす機会がないだけに、貴重な触れ合いです。
栃木県警といえば、交通機動隊・高速隊にハイパフォーマンスなスポーツカーを導入していることで全国的にも有名です。日産のR35GT-Rを筆頭に、ホンダNSX、レクサスLC500、スバル・インプレッサWRX STi、日産フェアレディZバージョンNISMOといった、抑止力がハンパないホットモデルのパトカーを揃えています。
当日の見どころは、これら車両を並びで一同に見られることはもちろん、午後に予定されているパレードランです。もてぎ名物オーバルコースをサイレンを鳴らしながら、緊急走行する5台のスーパーパトカーの勇姿。これを見て興奮しない人はいないでしょう。厳しい訓練の賜である、白バイのアクロバチックなドリル走行は見ている側はドキドキです。
インプレッサWRX STiやNSX&LC500のパンダパトカーなどが揃い踏み
栃木県警が所有するGDインプレッサWRX STiから最新のLC500の世代間には20年以上の幅がありますが、スーパーパトカーの変遷をミュージアム的に見ることができるのも貴重な体験です。じつはこれらスーパーパトカーの出自は、それぞれ異なっています。
まずは自動車メーカーの開発・生産拠点があるという栃木県ならでの特色、自動車メーカーから「寄贈」されるケースです。NSX、フェアレディZがそれに当たります。NSXはNA1(1992年に寄贈)とNA2(1999年に寄贈)の2台が贈られています。かつては栃木・高根沢工場で生産されていたという縁のあるNSXですが、北米オハイオ産となったNC1は寄贈の対象とならないまま生産終了となってしまいました。
フェアレディZは2007年に寄贈された車両です。次世代であるZ34が2016年から警視庁で導入されていますが、いまだ現役としてイベントなどで活躍しています。現在、新型フェアレディZの話題で持ちきりですが、パトカー仕様がいつ誕生するのか、パトカーファンは今か今かと見守っています。
R35GT-R&LC500のパトカーは個人の方から寄贈されたもの!
そして警察庁による一括導入(国費)や、各都道府県警ごとの予算で賄う県費で配備されるパトカーです。GDインプレッサがそれに当たります。
これら栃木県警スーパーパトカーならではの大きな特徴が、個人による寄贈を受け入れていることです。最新のLC500(2020年9月に寄贈)とR35GT-R(2018年6月に寄贈)ともに、県内で介護サービス会社を営む会社役員個人から贈られたものなのです。個人でパトカーを寄贈する! それも1000万円をゆうに超えるスーパーカーを2台もとは驚きです。
栃木県警警察本部・交通機動隊の相田武志警部によると、栃木県の窓口を通じて寄贈された車両とのことです。日常のパトロールなどの業務については「R35GT-Rはとても注目度が高く、緊張感を持って業務・メンテナンスにあたっています」(栃木県警警察本部・交通部高速道路・交通警察隊 鈴木龍一朗警部)とのことです。
GDインプレッサはさすがに寄る年波には勝てないようで、前線からはいったん退き、こうしたイベントで活躍しています。「走る姿を楽しみにしている方もたくさんいらっしゃるので、できるだけ長く乗っていきたいですね」(相田警部)。ちなみにヒコセブンの43分の1ダイキャストモデルのように、スケールモデルとしても数多くリリースされているのが栃木県警のパトカーで、相田警部は数多くコレクションしているそうです。
GD以降のインプレッサ系のパトカーといえば、GE系アネシスが静岡県警に、GJ系が新潟県警に配備されたのをはさみ、VA系WRX S4の覆面パトカー(埼玉県警、高知県警に配備)が有名です。ただ、マニュアルトランスミッション+ターボの組み合わせのパトカーは久しく途絶えてしまっています。
また現行VB系ではWRX STIの国内導入は見送られるようで(編集部注:STIが電動化へとシフトしていくことをすでに発表しているので、グローバル市場でも導入の可能性は低いとみられる)、レガシィのセダンもBN系をもって国内販売は終了しています。スバルのセダンパトカーはこのまま途絶えてしまうのでしょうか。栃木県内にはスバルの研究所もあるので、縁が切れるのは寂しくもあります。
全国津々浦々に配備されている210系クラウンのパトカーですが、こちらも将来、次世代220系に切り替わっていくと思いきや、どうやら220系クラウンのフルモデルチェンジが近づいているという噂もあります。2Lターボと2.5Lハイブリッド4気筒へダウンサイジングされた220系と比べると、3.5Lエンジンの210系は歴代クラウンパトカー最強の300psオーバーのパワーを誇っています。新世代クラウンは、この性能を超えることができるのでしょうか。
3車線であり走りやすいとされている東北自動車道を擁する栃木県。今後さらに新型コロナウイルス感染症対策が進めば、自ずと交通量も増えていきます。「速度が上がると、それだけ事故の衝撃が大きくなることを忘れず、運転してほしいと思います」(鈴木警部)と、事故を未然に防ぐジェントルドライブの大切さを訴えます。当日は子どもたちからも大人気だった栃木県警のスーパーパトカー。こうしてふれあいが、リアルな交通安全教育につながっていくはずです。
警察車両や自衛隊の特殊車両&消防車などに子どもたちは大興奮!!
また場内では、パトカーのほか自衛隊栃木協力本部の協賛による自衛隊車両の展示も大人気で、写真撮影を待つ長い行列ができていました。そのほかにも実際に、はしご車や高所作業車に乗って上昇できる体験も楽しめたり、工事現場などでは遠くからながめることしかできない建機・重機の類いも数多く展示してあるなど、大人も子どももワクワクの1日でした。
人気YouTuberフィッシャーズとのコラボしたリアル宝探しなど、誰もが楽しめるよう間口が広がった、新生モビリティリゾートもてぎ。ぜひ足をはこんでみることをおすすめします。