日本メーカーも海外市場では多くのピックアップを売っている
あまり知られていないが日本の主要自動車メーカーは海外市場に向けて数多くのピックアップトラックを生産している。日産はフロンティア、ホンダはリッジライン、三菱はトライトン、いすゞはD-MAX、トヨタはタンドラやハイラックス、マツダはBT-50など、ラインアップにピックアップトラックを持っていないワケではない。
では、なぜ日本ではピックアップトラックを販売しないのか? その理由は文化の違いが大きく影響し、「ピックアップトラックが売れない」と考えているからだ。日本には高度経済成長時代から日本を支え続けた軽トラックが存在し、車両価格、維持費、経済性に優れていることから商用車としてピックアップトラックが入り込む余地はない。さらに積載容量が必要であれば2トン車や商用4トンなどのキャブオーバー小型/中型トラックがシュアを占めている。
遊びのセカンドカーを持つ余裕が日本でも育ってほしい
次に日本では「乗用車文化」が当たり前になっていることも大きな理由だ。最近、ようやくSUVという新たな文化が浸透し始めてはいるものの、人気のモデルはどれもが都市型SUVと呼ばれる乗用車ライクなものであり、本格的な4WDモデルとは一線を画している。ひと昔前にはステーションワゴンブームが一世を風靡したものの、ライトバンを思わせる商用車的なスタイルは日本の文化には根付かなかったのも、乗用車文化が大きく影響していることは間違いない。
さらに日本ではセカンドカーを持つ文化がなく、ピックアップトラックで通勤や家族の送迎、週末の買い物、帰省、冠婚葬祭までをカバーすることはできないのも大きな理由である。今後、日本にピックアップトラックを根付かせるにはセカンドカーを持てる経済性を備え、遊びのクルマを持つことに罪悪感を持たない心の余裕を育てることが必要なのかもしれない。