これからもっと盛り上がること必至なエンジンを搭載
次期フェアレディZと同じ3.0L+ツインターボユニットを搭載しているのがスカイライン400R。このパワフルセダンが人気を集めている理由はやはり、405psを発揮するエンジンユニットにある!!
じつは以前にも存在していた「400R」
スカイライン400Rの元ネタをご存じない方のためにあらためて解説しておくと、元ネタはNISMOのコンプリートカー「400R」。R33GT-RをベースにNISMOが製作した伝説のコンプリートカーで、馬力は自主規制で280psに抑えられていた時代に、日産自動車ではなくNISMO製作ということで、400psに仕立てて登場させたのだ。
そんな伝説のネーミングを復活させたのがスカイライン400R。セダンだし、4WDでもないし、共通点はあまりないが、405ps/475N・m(48.4kgf・m)という驚愕のスペックは、たしかに400Rを名乗るだけの理由が十分にある。そして、その俊足セダンであるスカイライン400Rが人気を集めているのだ。
このエンジンユニットはVR30DDTT。吸気側に電動VTCシステムを装備して可変バルブタイミングが可能だ。燃料は直噴で燃焼室に直接噴射することで、高圧縮比化を達成している。日産として国内では初となる水冷式インタークーラーを採用し、吸気温度の安定化を実現。タービンには回転センサーを装備することで、そのポテンシャルをフルに引き出し、小型でレスポンスに優れながら405psを可能としている。
ECUチューンで500psを狙える
そして、現在のところECUチューニングが可能だ。いわゆるブーストアップができる。目安はだいたい500ps。つまりチューニングでサクッと“500R”になってしまうのだ。これはチューニング界が放っておくわけがない。
しかし、500psが可能だからといって、もっと上げるのはちょっと難しい。理由はインジェクターにある。直噴は燃焼室に直接噴射する。その噴射する場所などがかなりシビアで、ポート噴射インジェクターのように簡単に大容量インジェクターに交換できない。現状では大容量の直噴インジェクターは存在しない。そのため、ノーマルのインジェクターの限界が、出せるパワーの限界になってしまう。ピストンやコンロッドをいくら強化してもパワーを出しきれないのだ。
サーキット専用車なら追加インジェクターを打つ手もあるが、ストリートカーとしてはその管理は難しく、漏れたときのリスクなども考えると現実的ではない。
とはいえ、どうみてもフツーのセダンが、ちょちょいとECUをいじると500psである。ひと昔前なら夢のような話である。R32/33/34GT-Rに採用されたRB26DETTで500psを常用しようと思ったら、かなりのコストが必要。そのあともメンテナンスや油脂管理など結構シビアな面も出てくる。それが簡単にできてしまうのである。
強烈な加速力がチューニング好きを魅了している
車重は1760kgと決して軽くはない。R32が1430kgだったので330kgアップ。そうなると500psとはいえ、それほどパンチを感じないかもしれない。それでも500psあれば十分なパワーである。
サーキット走行に決して向いたプロポーションではないが、サーキットでも好タイムをマークしている。鈴鹿サーキットではショップのデモカーが2分30秒を軽く切っていて、これはライトチューンの86/BRZやスイフトスポーツよりも速いタイムだ。
500psもあればそんな格下のスポーツカーより速いのは当たり前と思われるかもしれないが、コーナリング速度が問われる鈴鹿サーキットでは、86/BRZやスイフトスポーツは相当速く、それらよりもコーナリングは確実に遅い。ということは400Rは圧倒的にストレートが速く、その理由はやはり爆発的な加速力があることで、それは魅力であり病みつきになるもの。それこそがチューニングの醍醐味である。そんな楽しさに満ちているからこそ、400Rは支持されている。新型Zとはまた違う、チューニングの楽しみ方を持っているのだ。