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800万円で国産スーパーカーが買えた! 初代NSXにかけた熱すぎるホンダのこだわりとは

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎七生人/本田技研工業

技術的なこだわりをクールに語りかけるカタログ

 とはいえ実際のカタログでは、そういったエピソードは語られておらず、エンジンにしても、パーツを分解した美しい写真とともに、説明文ではVTECの作動説明、共鳴チャンバー容量切り替えインマニシステム作動説明や、トルク特性やミッドシップならではのクーリングシステムの話。さらにニッケルクロムモリブデン鋼採用のカムシャフト、超軽量チタンコンロッド、マグネシウム製ヘッドカバー、インマニチャンバー、インマニトップカバーといった語彙が並ぶ。

 ちなみにスペックは当時の自然吸気エンジンでは最高峰の最高出力280ps/7300rpm、最大トルク30.0kg-m/5400rpm(どちらもネット値)、リッターあたりトルク10.1kg-m、パワーウエイトレシオ4.82(5速MT車)といったところが、文中にさらっと記述されている。

エンジンパーツの写真の脇には技術説明が濃密に詰め込まれている

ダイナミック性能の基礎となったオールアルミ製ボディ

 それとNSXといえば、オールアルミニウム製ボディの採用は外せない話だ。5速MT車で1350kgの車重、ホワイトボディで210kgという軽量・高剛性ボディは、NSXのダイナミック性能を支える、文字どおりの基礎だった。6000系アルミを用いた押し出し成形のサイドシルなど、素材、工法にもさまざまなノウハウが投入されたほか、ルーフ部以外のアウターパネルは組み付け式としサービス、メンテナンス性にも配慮するなどしていた点も見逃せない。全周視界角度311.8度と、スーパースポーツカーとしては異例の視界のよさもNSXの新しさだった。またアルミは、サスペンションを構成する主要部品の80%にも採用されていた。

車両重量はわずか1350kgに抑えられた

速くて気持ちよくて乗りやすい、理想のスポーツカー

 初代NSXが登場してすぐに、注目車につき過密な貸し出しスケジュールの中、たしか筆者は撮影を兼ねて1泊だけ広報車を借り受けた。そしてクルマ好きの友人を誘い、深夜の東名高速を東京から西に向かって走らせた。そのときに、とにかく胸のすくエンジンフィールとプレリュードのような乗りやすさに感動した覚えがある。逆算すると友人も筆者も30代になったころで「いつかこんなクルマを持ちたいよね」「そうだね」といった会話を交わしたような気がする。

全周視界角度311.8度と運転しやすさもポイント

 当初の希望小売価格は5速MT車で800万円、4速AT車で860万円。たとえば当時のフェラーリ438tbが1650万円、ポルシェ911カレラ2(964)が1035万円ほど。立ち上がりでは納車3年待ちなどと言われたようだったが、NSXの魅力と価値が理解できたオーナーにはバーゲンプライスだったはずだ。

新車価格は5速MT車で800万円、4速AT車で860万円

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  • 1989年のシカゴでお披露目されたときは「コードネームNS-X」だった
  • 初代ホンダNSXをカタログで振り返る
  • ビークル・ダイナミクスを極めた
  • 新車価格は5速MT車で800万円、4速AT車で860万円
  • DOHC VTECエンジン
  • パワーウエイトレシオとホイールベースウエイトレシオによるチャート
  • 車両重量はわずか1350kgに抑えられた
  • エンジンパーツの写真の脇には技術説明が濃密に詰め込まれている
  • 全周視界角度311.8度と運転しやすさもポイント
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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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