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業務用ドライブレコーダーでマシンの状況を把握! 業界国内3位のメーカーが全日本ラリーに参戦する理由とは

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

  • GRヤリスの走り

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ラリーカーに搭載してデータをライブで送信

 全日本ラリー選手権のオープンクラスに参戦する一台のラリーカー。そのボディには大きくVIEWTECのロゴが入っている。このVIEWTECとは日本ヴューテックのことであり、日本ヴューテック社長の松波 登氏がドライバーとして参戦している車両である。

事業用トラック向けのアイテムを手掛ける会社がラリーに参戦

 日本ヴューテックというのは、1988年に創業した事業者向けのトラック用カメラを製造販売する会社。1996年に常時後方確認システムを開発し、トラック業界へのバックアイカメラの普及を進め、現在では三菱ふそうトラックがメーカー純正品として採用する。現在はバックアイカメラ以外にもドライブレコーダーなども手掛ける、業界国内3位のメーカーである。

 松波社長は、元トヨタワークスドライバーとしてラリーに参戦してきた経験もあるドライバー。そんな関係から、パリダカールラリー(通称パリダカ)に参戦しているチーム・スガワラへリヤビューモニターを提供している。さらに、SUPER GTをはじめとするいくつかのレースチームにも、同社のカメラシステムが提供されているのだ。

 その松波社長が、昨年から参戦を開始しているのが、全日本ラリー選手権のオープンクラス。オープンクラスは、全日本選手権の対象外のクラスとなっているが、まずこれに参戦し、実績を積んだうえで、2年後には国内最高峰クラスであるJN1への参戦を目論んでいる。松波社長は現在74歳ということで、ボディには巨大な高齢者マークを貼り付けているのもこのクルマの特徴である。

GRヤリスに最新システムを搭載して情報を共有

 その車両はGRヤリス。ここに日本ヴューテックのシステムが搭載されている。それが録太郎(VHR-851-FHD)という多機能ドライブレコーダー。事業所が所有するトラックの運行管理用に作られた、業務用システムである。Gセンサーも内蔵しており、最大8台のカメラ映像を録画できるほか、ブレーキ情報、エンジン回転数、車速、ウインカーの情報も同時に記録できる。1TBのSSDを搭載し、さらにバックアップ用のSDカードを用意しているが、それだけでなくインターネット経由で、ライブで情報を見ることができるという特徴も持つ。

 これを活用し、ラリーに活かそうという目論見もあり、この松波社長のGRヤリスには現在7つのカメラを装着し、録太郎に記録させている。そのカメラは、前方を捉えるカメラをフロントバンパー、そしてフロントウインドウ内側上部に装着。ほかに、前方から室内を撮るカメラ、ステアリング&シフト操作、アクセル&ブレーキ&クラッチ操作を撮るカメラ、メーター撮影カメラの6台にドライブレコーダーをつないでいる。

 これらの動画もリアルタイムにサービスパークで確認できるため、何かあった際のトラブルへの迅速な対応も可能となる(もちろん電波の届かない場所の多いラリーでは時折つながらないこともあるが……)。

 運行管理用に製品化しているもののため、たとえば急な操作についてはアラートで警告するシステムが備わっているが、そんな操作ばかりのラリー競技ではそのアラート機能をカットしたり、通常のシステムとは異なるセットアップをしていきながら、現場に即したものに生まれ変わっている。

 ドライブレコーダーが搭載されている車両に乗るのは、つねに監視されているみたいで気分のいいものではないが、このシステムは逆転の発想。つねにデータが取れるこのシステムは、レースの現場では有効であり、このシステムについて問い合わせが寄せられるなど、注目しているチームもあるようだ。社長の道楽のように見えて、じつは真面目な活動であるのだ。

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