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新車をオールペンすると事故車扱いはウソ! 愛車の価値を左右する「塗装」についてプロが解説

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TEXT: 増田高志  PHOTO: Auto Messe Web編集部

オールペンの履歴がなくても塗装の劣化が激しいと減点は大きくなる

 極端に言えば査定士がオールペンだと確認できなければ減点の対象にはならない。ドアやボンネットの内側、それにフロントガラス周辺のモールをずらして、マスキングテープなどを使ったときの痕跡として、塗装のほんのわずかな厚みの違いや艶の状態などをしつこいぐらいに確認する。しかし、それでもオールペンしたと判断できなければ減点のしようがない。現実にはそのようなクルマにはなかなか遭遇することはないのだが、それほど完璧な塗装であれば新しく購入したオーナーも不満はないだろうという考え方だ。トヨタ86のオールペン車両

 逆に言えばオールペンをしていなくても塗装の状態で減点される場合があるということだ。それは紫外線などが原因の経年劣化で起こりがちな現象で、丁寧で小まめな洗車とボディコーティングといった日ごろのお手入れで差が出る項目である。

 また、塗装関係の特殊な作業に加修というものがある。新車の納車前にボディの気になる部分に手を加えて修復をわからなくする行為で、国産車では品質管理が行き届いていているのでその心配は少ないが、輸入車のごく一部のブランドでは見受けられるようだ。つまり日本の神経質な基準に合わせるための対策である。

板金塗装の作業

万が一加修が発覚したら泣き寝入りするしかない!?

 この加修は、納車直後に発見することは難しく、経年していくことで発覚することがあるから厄介だ。もちろんパッと見では確認できないのだが、光を当てる角度を変えたりしてチェックすることで、加修箇所が見えてくる場合がある。もちろん加修は隠されたままというのが大半だ。

 しかし加修跡が見つかれば、残念ながら減点の対象になってしまう。もし新車の保証期間中に見つけたのなら、ディーラーからメーカーに交渉して再度粗を隠すように補修する場合もあるようだが、購入金額の一部を返すということは一切ない。理由はそれが加修によるものか、オーナーが後から付けた傷の補修なのかの判断が難しいからで、実際には加修をメーカー(ディーラー)が認めることは非常に稀のようだ。塗装の磨き作業

 ちなみボンネットやトランク、それにドアなどを外しただけならば減点にはならない。しかし“なぜ外したか”は徹底的に調べられる。その結果、例えばチリ合わせのために取り付けボルトを緩めたので、それで工具をかけたボルトの頭の塗装が剥げた程度であればセーフということだ。

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