フルリフレッシュから15万km&14年経った走行44万km超のR32
登場から30年以上経てば、エンジンや足まわりのようにボディだって経年劣化は免れない。GT-R Magazineが所有する平成6(1994)年式のR32V-spec IIは新車時からの酷使状態が祟り、28万km時に一度バラバラにして各部の錆を取り除くなどフルリフレッシュを敢行した。施工から14年。作業を担当した『カナザワボディリペア』にて、作業後15万km超となった今の状態を定期検診したいただいた。長くいい状態を維持するために、やるべきこととチェックするべき箇所を紹介しよう。
各部ゴム類の劣化は深刻! 定期交換がマストだ
大切な愛車に長く乗り続けたい。一生GT-Rと共に過ごしたい。そのためにエンジンはオーバーホールし、シャシーリフレッシュもする。ボディだって同じことだ。各部が経年劣化するし、最大の問題は「錆」だと誰もが感じている。
だからこそ、GT-R MagazineのR32V-spec II号は、平成20(2008)年に『カナザワボディリペア』にてフルリフレッシュを行った。当時この大作業を手掛けていただいた金沢廷好代表によれば、リヤフェンダーやサイドシルなど、かなり酷い状態だった。それをきっちり仕上げて14年間。今でも実車を見た方からは「ボディがとてもきれいですね」「大切にされていますね」とお褒めの言葉をいただく。
しかし、実際のところはどうなのか? 通常は屋根付きの駐車場で保管されているが、過保護な扱いはしていない。取材や撮影があれば雨の日だって稼働する。ボディについての不具合は気付かないが、それはあくまで素人の感覚だ。そろそろ主治医の定期検診が必要だろうと考え、カナザワボディリペアを訪れた。いわばボディの定期点検だ。
「ボディで劣化するのはゴム部品と可動部ですね。例えばトランクのウエザーストリップ。GT-R Magazine号の場合も潰れた状態で張りがなくなっています」と金沢代表。確かに新品と比較してみると、変形したままでかなりフニャフニャといった具合だ。さらにトランクのクッションゴムも半分とまでは行かずとも、かなり潰れた状態に。
フロント側に目を向ければ、グリルを固定するクリップ部にガタが出て、触ればグラグラと動くほど。きれいに見えて、案外劣化している部分が多いことに気付く。
どんなクルマも錆ゼロはない! 弱い部分を対策する
「ウエザーストリップなどのゴム部品は10年を目安に交換してもいいと思います。クッションゴムなどはそこまで持ちません。数百円のパーツですし、5年ごとに見直してもいいのでは?」
今やR32トランク部のウエザーストリップはNISMOヘリテージパーツ扱いになっており3万円を超える。カナザワボディリペアではR34用を流用しているとのこと。GT-R Magazine号も同じようにR34用に交換してもらい、クッションゴムも交換。するとトランクオープナーを引いた瞬間の感触がまったく違う。しっかりした弾力を感じたのである。さらにトランクを閉めるときも今までは「バシャン」と鉄が当たるような感じで気を使っていたが、今は少し力を入れないとゴムがトランクフードを弾き返すくらい。ゴム部分の定期的な交換は想像以上に効果的だ。
さらに各部の点検は続く。ボディの検診と言えば、やはり確認しておきたいのは「錆」だ。具体的な症状はなくとも、錆はボディの天敵である。気付かぬうちにGT-Rを蝕んでいるのではないかと気になっていた。錆=ボディの致命傷の始まりと考えて不安に思っている方も多いだろう。しかし、金沢代表から意外とも思える言葉が飛び出したのである。
「どんなクルマにも錆はあるのです。新車だってどこかしらが錆ています。だから必要以上に神経質になることはないと思いますよ。重要なのは、それぞれのクルマのウィークポイントを知っておくことでしょう」
例えばR32はリヤフェンダーとサイドシル。R33とR34はフードレッジ部だ。共通しているのはパネルが重なる部分ということ。汚れや水が入らないようにシールされているのだが、経年劣化でパリパリになり、動かした瞬間に剥がれたりする。
そこから汚れや水が入り込み、錆の原因となっていく。しかし見えない部分だから気付かぬうちに症状は進行し、気付いた時には大惨事! というわけだ。GT-R Magazine号も一度は直したサイドシル部が見事に潰れてしまっていた。ではどのような対策をすればいいのか?