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「百恵の、赤い靴」で売り出したトヨタ初のFF車! 初代ターセル&コルサはデザインもパッケージングも秀逸だった

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

  • 1978年に発売されたターセルとコルサ

  • 1978年に発売されたターセルとコルサ
  • 1979年からカタログのイメージカラーも赤になった
  • ターセルの3ドアハッチバック
  • ターセルの4ドアセダン
  • ボディさいずの割に広い室内空間
  • コルサのラゲッジルーム
  • ターセルのカタログから機構説明

1978年の発売直後はフツーのカタログだった

 大人の事情にも配慮しつつここでのカタログ写真の掲載は控えるが、手元にある初代トヨタ・ターセル/コルサのカタログの裏表紙には、小さいながらしっかりと山口百恵の写真が1点載っているものがある。意外なことにカタログの本編ではどこにも登場しないのだが、「百恵の、赤い靴。」とやったTV-CFはつとに有名で、あたかもこのCMで初代ターセル/コルサが登場した感すらある。

 迂闊にも筆者もそう思いこんでいたところがあったのだが、この記事の準備段階でふとカタログを整理しながら、ターセルもコルサも「赤いクルマ」を表紙に据えているのは1979年8月版で、じつは1978年8月の正式なデビュー版のカタログは、写真でもご紹介している、イエローとグリーンのターセルが表紙のものと、モノトーン風にフロントグリルをアップで捉えた写真のコルサの表紙の2タイプだった。

1979年に山口百恵をCM起用してテコ入れ

 ちなみに「赤い靴」のときの山口百恵は、まさに大ブレイク中であり、ターセル/コルサの販売上のテコ入れのために彼女の人気にあやかったであろうことは想像に難くない(成果はさておき)。筆者は(脈絡はないが)浅田美代子派だったので山口百恵に詳しいわけではないが、調べてみると、ターセル/コルサが登場した1978年8月というと、例のNHKで歌詞に出てくる「ポルシェ」を「クルマ」と言い換えさせられた「プレイバックPart2」がまさに流行っていたころ。

 翌79年6月に1.3Lモデルと1.5LにATが追加された(登場時は全車MTだった)タイミングで、同年6月に発売された彼女の26枚目のシングル曲「愛の嵐」とともにご本人がCMに登場。ここで「あら、真っ赤なポルシェじゃなかったの?」と内心思わせられながらも「百恵の、赤い靴」のインパクトのあるコピーを見聞きすることになったのだった。

1979年からカタログのイメージカラーも赤になった

トヨタ初のFWDで、しかもエンジンは縦置き

 ところでターセル/コルサは、トヨタ初の記念すべきFWD車(ミドルクラス初のFWD車だったカムリ/ビスタの登場は1982年)で、エンジニアリング的にはかなり斬新なクルマだった。

 カタログにもボディを横から見た構造図が載っているが、何といってもユニークだったのは、FWDとしながらもエンジンが「縦置き」だった点。もちろんその後のFWD車でもエンジンを縦置きとした例は見られたが、ターセル/コルサのようなスペース(パッケージング)重視のコンパクトカーで縦置きとした点が注目された。横置きとしなかった理由は、補機類などのサービス性のよさや、ユーザーに馴染みやすいからともしていた点は、いかにもトヨタらしかった。

ターセルのカタログから機構説明

コンパクトボディで2500mmのホイールベース

 で、構造図でもわかるように、エンジン本体の下に後方から潜り込ませるようにトランスアクスルを配置することで、縦置きのレイアウトを実現していた。外観を見てフードが高くノーズ部分の厚みがあるように見えたのはそのためでもあった。他方ホイールベースは上級クラス並の2500mmと長くとられ、1740mmの室内長を実現。ちなみに同世代のKP61スターレット(FR)のホイールベースは2300mmだったから、それより200mmも長かった。とくに4ドアではちょっとダックスフントのような趣もあった外観スタイリングは、こうしたユニークなパッケージングによるものだった。

 なお、サスペンションはリヤをトレーリングアーム式とした4輪独立式が奢られ、当時の同クラスの日本車としては快適性の高い乗り心地をモノにしていたのも特徴だ。

ボディさいずの割に広い室内空間

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