クラシックワーゲンのスワップミート「Vee-Dub Seaside Market」
ドイツが生んだ名車でありつつ、1960年代以降はアメリカでも爆発的に売れたことで、とくにカリフォルニアのカルチャーとも関係が深いフォルクスワーゲン。ずばり「キャルルック」と呼ばれるカスタムVWを愛好する団体「staginglane.net」の呼びかけで、スワップミートのイベントが開催された。
カリフォルニアのような陽射しの海辺でスワップミート
5月29日(日)に神奈川県三浦市の京急油壺温泉キャンプパーク(神奈川県三浦市)にて、クラシック・フォルクスワーゲンのオーナーたちによるスワップミート「Vee-Dub Seaside Market」が開催された。スワップミートとは、部品交換会と呼ばれることもあるが、クルマやバイクのファン同士によるフリーマーケットのこと。
この日のイベントでは、エントリーしたVWは駐車スペースの前のちょっとしたスペースを利用して、パーツやアクセサリー、グッズから、クルマとは関係ないアパレルや雑貨まで、思い思いのアイテムを展示。さらに大きなブースやVW専門ショップも軒を連ねた。ちょうど夏がひと足早く訪れたかのようなピーカンの晴天と海辺のロケーションが相まって、参加したVW乗りたちはアメリカ西海岸のような雰囲気の休日を楽しんだのだった。
かわいいワーゲンは女性やお子さまにも人気
スワップミートの一画でカラフルなブースを出展していたのは、千葉県八千代市のアメリカン雑貨ショップ「935STAR」の田中愛乃さん。こちらでは興味深い試みとして、お気に入りの写真データをもとにオリジナル加工して、ノスタルジックで絵のような風合いのアートフレームに仕上げるサービスを提供。もちろんクラシックカーとの相性も良さそうだ。
ビートル乗りの女性もお子さんと参加。佐々木綾子さんはこのビートルをかれこれ15年も愛車としていて、同じVW乗りのご主人ともクルマがご縁。4歳になった愛娘の結ちゃんと一緒に油壷までエントリーし、ホットな休日をエンジョイしていた。ちなみにご主人の満さんが営む「AND1 DETAIL」はクルマの磨き&コーティング専門店で、クラシックカー乗りの間では有名なショップである。
VWのパーツ以外の雑貨を並べるブースも多いとはいえ、みんなクラシックカーやカリフォルニアのカルチャーが好きという価値観は共通している。そのため、それぞれが意外な出会いを楽しんでいたようだ。かくいう筆者も70年代のカセットレコーダーをジャンク品で買ってしまった。
ワーゲンに乗り始める若者が増殖中!?
大昔は「ボロクソワーゲン」なんて悪口があったほど、そこらじゅうでゴミのような値段で売られていた時代もあり、そのころと比べれば「高くなった」と言われたりもするクラシックワーゲン。とはいえ、50年代のビンテージなレア物に手を出すのでない限り、60年代や70年代の個体は100万円台後半~300万円の間が多いので、若者でもそれなりに腹をくくれば無理なくローンで買える範囲内だ。
この日、1966年式ビートルに乗ってやってきた川添佑太さんは22歳。この春に就職して、速攻でビートルを購入! 納車まもない愛車にお父さんを乗せての参加である。じつはこのお父さんは若いころ、クラシックワーゲンを3台ほど乗り継いでいたのだが、結婚して佑太さんが生まれることになり手放したのだそう。それから20余年を経て息子さんがVW乗りになったということで、とても嬉しそうだった。
パステルグリーンの63年式ビートルで古着を売っていた風間佳さんは30歳。もともとマークIIワゴンに乗っていて、旧車系のいろいろなイベントに参加しているうちにワーゲンが好きになり、3年前からビートルを増車したのだという。「国産旧車とくらべてワーゲンはパーツ問題がラクなのがいいですね」
こちらも30歳のDSKさんは、まさにキャルな雰囲気の黄色い72年式カルマンギア・コンバーチブルに乗ってもうすぐ丸2年。その前は新しめのゴルフに乗っていたそうだが、周りに空冷VW乗りが多く、カルマンギアが気になっていたタイミングで良い出物があったのだそうだ。
「いままでさまざまなクルマを車検の前にコロコロ乗り換えてましたが、ワーゲンは自分で手を入れられる部分が多くて飽きませんね」と語る。ローダウンしてナロードしてホイールもマフラーも交換、シートからフロアマットまで内装も自分で張り替え、ダッシュパネルも交換。まさにホビーカーとしてイジって遊んでいるのだった。
30歳トリオの3人目はMC5143(インスタ名)さん。個人売買で安く買ったという63年式ビートルは、カサカサ塗装のいわゆる「パティーナ」スタイルだが、じつはコレ、わざと狙ったエイジング塗装の一種。
「買ったときはグレーのボディにほぼノーマル仕様でしたが、ローダウンしてフロントは8インチナロード、リヤにドロップスピンドルを入れました。カルマンのBSKさんとふたりで駐車場で作業してビームを取り替えたりしてます」とのことで、オリジナルペイント風も自力。好みのスタイルにするためのパーツやノウハウが豊富なのも、VWの魅力のひとつなのだった。