カスタムしたいという気持ちを抑えてまずは現状把握
1990年代に生産された国産スポーツカーを筆頭に、熱狂的な盛り上がりが続くネオクラシックカー。新車が販売されていたころに憧れていた層だけじゃなく、当時は生まれてすらいなかった若い世代からも人気で、車種によっては新車の価格を軽々と上まわっている。そんな憧れのネオクラを手に入れたオーナーが、最初にやっておくべきことは果たして何だろうか。
高額=程度極上とは限らないのがネオクラ車の注意点
チューニングやドレスアップを急ぐ気持ちは分かるが、まずはコンディションを確認しつつ各部のメンテナンスだ。中古車が極端に高いせいで「程度がいいはず」と思い込む人も多いが、高値のおもな要因は市場の流通量をはるかに超える需要の多さにほかならない。外装はそこそこキレイに仕上がっており極上に見えても、フタを開ければ年式なりというクルマは意外に多いのだ。
せっかくカスタムしても故障ばかりでマトモに走れなくては、お金がムダなだけじゃなく相棒に対する愛着も薄れかねない。というワケで手を入れる前にチェックすべき部分と、最低限やっておきたい下準備を考えてみよう。
走行距離に応じてオイル漏れ対策やゴム類の交換が必須
まずはエンジン系。走行距離やオーバーホールの履歴はそれなりに参考となるが、歴代オーナーの使い方や保管していた環境はそれぞれ異なる。ある程度の距離を走ったらオイル漏れがないか、また極端に消費していないかを確認したうえ、問題があればその車種に詳しいプロショップへ。自分で「古いクルマだしこんなモン」と判断するのは危険だ。
そのほかは吹かしたときの振動や異音も注意しよう。エンジンマウント交換やタペット調整くらいで済めばいいが、より大きなトラブルを起こす前兆である可能性も否定はできない。
併せて電装系もある程度はリフレッシュしたい。オルタネーターやセルモーターなど大物は当然として、ネオクラの年代になればハーネスが熱を受けて硬化し、皮膜に亀裂が入ったり断線しかかっていることがある。すべて引き直すのは相当な手間と費用が必要になるものの、放置しておくと車両火災など重大な事故に繋がる可能性も。
駆動系は社外品への交換も積極的に検討したい
駆動系ではミッションとクラッチ。ギヤの入りが渋かったりクラッチの切れが悪いときは、オーバーホールまたは交換を前提で考えたほうがいい。ただし年式的に純正パーツが手に入らないことも珍しくないので、社外品や流用を含め「何が使えて何が手に入るのか」を調べるのが先決だ。併せてクラッチおよびブレーキのマスターシリンダーから、フルードが漏れていないかも忘れずに調べておこう。
ブレーキは安全に直結する部分だけにより入念に行おう。ホースやローターの亀裂にキャリパーのピストンシールなど、パッと見るだけで異常と分かる部分が少なくないのは幸いだ。それらを交換してもペダルのタッチが頼りないときは、キャリパーが熱で歪んでしまっている可能性が濃厚。こうなるとオーバーホールしても症状が改善することはなく、新品や程度のいい中古品もしくは社外品に交換するしかない。
余裕があればボディの劣化にも注目する
最後は前に気付くのは困難かもしれないがボディ。パワーを上げたり足まわりを硬くすれば、車体の負担が大きくなるのは必然だろう。コーキングが割れたりスポットが剥がれたりして、ボディが歪んだり雨水で錆びるケースもあるので、予算に余裕があれば転ばぬ先の杖として対策したい。いずれにせよ安くない金額で買った相棒だ。少しでも長く不安のないカーライフを一緒に過ごせるよう、一般的な中古車とはカスタムに対する意識も変えていく必要がある。