現代でも非力なMT車やチョイ古車では重宝するテク
ちなみに、1957年に登場した2代目フィアット500は、ノンシンクロMT車である。そのため、ダブルクラッチが必須であり、街中で愛らしいチンクエチェントを見かけたらオーナーが車内で頑張っている姿をイメージしてみるとオモシロイだろう。
シンクロメッシュを装備している昨今のクルマでも、非力なMT車の場合は上り坂で失速しないためにダブルクラッチが有効だ。下り坂ではエンジンパワーのあるなしに関係なく、シフトチェンジ時の変速ショックを少しでも軽減するために、ダブルクラッチが役立つといっていい。
そして、年式の旧い新しいに関係なく、ギヤの入りが悪くなってきたクルマ、シンクロメッシュを構成しているパーツを入手しにくいクルマにもダブルクラッチは有用なので、駆使してみるといいかもしれない。
クラッチが2系統あり、片方が奇数ギヤ、もう片方が偶数ギヤを担当し、それらを交互につなぎ変えながら変速するDCT(デュアルクラッチトランスミッション/ツインクラッチとも呼ばれ、フォルクスワーゲン系はDSGと表記)と混同しやすいが、ダブルクラッチはペダル操作とシフト操作の手間が増え、なおかつ高い敏捷性が求められる離れ業である。言葉も実際の動作も憶えておいて損はないだろう。