段階を踏んでひとつひとつチューニングするのがオススメ
自然吸気に比べてパワーアップが容易なターボ車。その反面セッティングや制御がシビアな面もあり、安易なチューニングはトラブルに繋がりかねない。大切なクルマを壊さずにパワーを上げるには、どのような手順を踏むのがベストなのだろうか。
吸排気系
車種によって例外もあるが第一歩は吸排気系、具体的にいえばエアクリーナーやマフラーの交換だ。エンジンに取り入れる空気の量を増やすのと同時に、排気の抜けをよくするのはNAでもターボでも共通といえる。
ただし制御がよくも悪くもアバウトだった昔のクルマならともかく、近年は純正ECUや各種センサーが進化を遂げている。その影響で吸入量の変化を車両の異常と判断して警告灯が点灯したり、アイドリング不調をはじめとしたトラブルに繋がることもあるため、コストは上がってしまうが同時にECUを書き換えるのがベストだ。
ココまでやれば俗にいう「ブーストアップ仕様」が完成。パワーやトルクはノーマルを大きく凌駕しつつ、チューニング費用はタービン交換より安上がりだ。
インタークーラー
さらに+αを求めるなら社外品のインタークーラーもいい。簡単に説明するとタービンで圧縮した空気を冷やし、密度を高めて燃焼効率をアップするアイテムで、純正交換タイプと前置きタイプのふたつがある。純正交換タイプはパイピングのレイアウトを変更する必要がなく、手軽かつ低コストなのが魅力だ。しかし、容量を極端に大きくするのは難しい。
一方で前置きは容量アップしやすく走行風を当てやすい反面、バンパーの内側に装着するスペースを確保しなければならず、パイピングが長くなればレスポンスが悪化するとも言われている。ちなみにアフターパーツとしてのインタークーラーの大半は空冷式だが、WRCで活躍したST185セリカなど一部の車種には水冷式インタークーラーも採用されている。
タービン交換
次のステップはタービン交換だ。昔こそフルチューンのイメージが強く、価格的にもビギナーは手を出しにくかったが、今はほどよくパワーアップしつつコストを抑えた、ポン付けのタービンキットも数多く存在している。
一例を挙げれば「ブリッツ」の製品。調整式アクチュエーター付きの専用タービンに、セッティング済みのデータ入りECUが付属し、価格はHA36アルトワークス用が22万円だ。最初に紹介したマフラーとエアクリーナーを合わせても、コストパフォーマンスは相当に高いレベルといっていい。
本格的な草レース仕様やタイムアタック仕様では、より大きいタービンでフルチューンするのもアリだ。ただしサイズによってはエンジンの排気量アップを含めたチューニングが必要で、冷却系だけじゃなくサスペンションやボディのセットアップもより難易度が上がる。
ドライバーの技量や走るステージを熟慮したうえで手を付けないと、お金ばかりかかって乗りにくくなったり壊れる可能性も否定はできない。フルチューンに限らず闇雲にパーツを交換するのではなく、まずはノーマルのパワー感やトルク特性をじっくり味わう。それから段階を踏んでひとつひとつチューニングするほうが、パーツの効果をより体感しやすいのでオススメだ。