ベッド幅なら新型ステップワゴンが有利
アウトドアで仮眠したり、車中泊するのに最適な一般的なクルマ(キャンピングカーを除く)といえば、やはりボックス型ミニバンに行き着く。シートアレンジによってベッドスペースを作りやすく、また全高の高いボックス型だけに室内高にも余裕があり、車内のベッド化やお座敷化したときの天井の高さから、よりゆったりできるというわけだ。
国産ボックス型ミニバンのなかでも、普段の使い勝手に優れ、比較的リーズナブルな価格で手に入るのが、ファミリーカーの定番でもあるMクラスボックス型ミニバンだ。2022年1月にトヨタ・ノア&ヴォクシー、同5月にホンダ・ステップワゴンが新型となり、日産セレナを加えた3車がその代表である。
ここではノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナの車中泊対応能力について、実際にシートアレンジを行い、比較してみた。なお、2列目席は人気かつより贅沢なかけ心地が得られるキャプテンタイプのシートで比較する。もちろん、2列目ベンチシート仕様であれば、評価は変わってくることをご承知いただきたい。
最初に言っておくと、3車ともに車中泊に適したミニバンであることは間違いない。その上で、車中泊最大のポイントとなるベッドについて検証してみたのである(各部の寸法はすべて筆者の実測値)。
ホンダ・ステップワゴン
デビューが新しい順に紹介すると、6代目ステップワゴンは先代よりさらに車中泊性能がUPしている。その最大の理由は、先代ではできなかった2列目キャプテンシートの中寄せアレンジができるようになったこと。
走行中の2列目席はリッチなかけ心地、居心地が得られるキャプテンシートとして使い、クルマを止めて車内をベッド化もしくはお座敷化する際は、2列目キャプテンシートを中寄せアレンジする。その結果、幅最大1030mm、ベッド長2040mm(ベンチシートは2020mm)ものベッド&お座敷スペースが出現する。
先代ステップワゴンのベッド長は1990mmだから(それでも十分だが)、ベッド長が50mmも長くなったということだ。畳んだ2・3列目席の間の隙間もほとんどなく、もちろん、ベッドとしてフラットにするにはマットレスを敷いたり、詰め物をする必要はあるものの、室内高1410mmのゆとりもあって、車中泊性能はなかなかのものと言っていい。2・3列目席ともにクッション性が向上しているから、比較的柔らかめの寝心地、座り心地になるのも嬉しいポイントだ。
ホンダアクセスが用意した、純正アクセサリーのセパレートカーテン(1列目席背後を仕切るカーテン)、プライバシーシェードを使えば、プライバシーが守られるベッドスペース、お座敷が完成できるのも大きな魅力となる。
ただし、アウトドア、車中泊で活躍してくれるはずの、先代のハイブリッドモデルにオプションとして用意されていたAC100V/1500Wコンセントは、新型ではオプションとしても未設定。先代のオプション装着率が低かったから……というのが理由のようだが、ぜひ、加えてほしいところである(開発陣に強く進言済み)。