SNSでも旧車の盗難情報が定期的に流れてくる時代
愛車が盗まれ、いつも置いてあるはずの駐車スペースから消えている……。頭の中でほんの少し考えただけでもゾッとする光景だ。
許しがたい車両盗難は、クラシックカーやヤングタイマー車の世界でも発生している。プロの窃盗団が積極的に狙っていると思しき、ランドクルーザー、プリウス、レクサスLX、アルファードに代表される昨今のクルマだけがターゲットではないのだ。
シンプルな旧車は悪党にとっても恰好のマト
盗まれたクルマは、いったん解体して海外に輸出されたり、バラバラにされてパーツの状態で国内外で販売されることになるが、稀少なクラシックカーは流通価格が高く、なおかつ構造が単純なので解体しやすい(狙われやすい)のだ。手慣れたメカニックの手にかかれば、オーナーが手塩にかけて大切にしてきたクラシックカーがわずか数時間で解体されてしまうのであった。
解体されてしまったら、例えばヘッドライト単体でインターネットオークションに出品されていてもオーナーが気づく可能性はほぼゼロだといえ、残念ながら車体の一部でさえも戻ってくることはナイのであった。
ワイパーに挟まれる怪しげな名刺やチラシにご用心
ここ最近、筆者のSNS投稿(もちろん、クラシックカーが主役)に対して「憧れのクルマです!」とか「イベントに参加する予定はありますか?」といった内容のコメントを送ってくる人がいるが、カタコトの日本語で書かれていることが多く、非常に怪しいので、リアクションしないようにしている。
そして、雨天走行後などにクラシックカーに日光浴をさせていると、ワイパーに名刺やチラシをいつの間にか挟んでいく人がいるが、担当者や代表者の名前がカタカナで書かれていることが多いそのような紙を見つけたら、すぐさま回収したほうがいいだろう。
というのも、名刺やチラシを挟むことにより、目星を付けたクルマの使用頻度を確認していると言われているからだ。それほど管理していないな、と思われたら狙われてしまう(ちゃんとした業者さんによる正規の買取も含む)ので、気をつけていただきたい。
できる限りのセキュリティ対策をしておきたい
大切な愛車を盗難から守るためにはセキュリティレベルをアップする必要がある。具体的な方策としては、駐車スペースに人感センサーライトや防犯カメラを設置するなど盗難されにくくなるように工夫する、駐車時にホイールロックおよびステアリングロックを装着する、車種が特定されないようにメーカーのロゴがプリントされていない地味なボディカバーをかけておく、衝撃を感知すると警告を発するカーセキュリティシステムを装着する、車両追跡用の小型GPS発信機を愛車に載せておく、といったようなことを実践したい。セキュリティ対策は多ければ多いほど効果が高まるので、さまざまなアイテムを駆使して愛車を犯行グループから守るといいだろう。
ポルシェはGPS盗難防止システムを欧州で提供開始
参考までに記しておくと、ポルシェはすべての自社生産クラシックモデルを対象とした「ポルシェ・クラシック・ビークル・トラッキング・システム」をヨーロッパ全域で2018年から提供している。これはGPSを利用した車両盗難防止システムで、クルマに一体化するように隠して搭載することができるのだという。
機能としては、まず、クルマが盗まれていることをシステムが察知するとアラームが鳴る。犯行グループがその場であきらめ、車両から離れることを理想のシナリオとしているからだ。
窃盗団があきらめることなく、さらに作業を続け、まんまとバッテリーを外した場合はシステムがオーナーとセキュリティセンターに警告を発信し、不正行為であることをオーナーが確認するとセキュリティセンターが警察に通報する。GPSセンサーにより、クルマの現在地と進行方向が分かるだけでなく、エンジンが再始動するのを阻止することさえオプションで可能とのことで、セキュリティセンターがその後もオーナーと連絡を取りあってくれるそうだ。
最新のクルマはコネクテッドサービスと連携する流れ
スーパーSUVとして知られるランボルギーニ・ウルスは、不正な使用を検知するシステムの「Lamborghini Connectビークル・トラッキング・システム」を日本で販売している車両にも採用している。今後は従来のアナログな対処法と、ネットワークからさまざまな情報にアクセスできる自動車メーカー提供のコネクテッドサービスを組み合わせるのが、新車の世界においては車両盗難対策の主流となっていくのであろう。
残念ながらクラシックカーやヤングタイマーにはコネクテッドサービスがないので、万全のセキュリティ対策を施していただきたい。もしも盗難被害に遭ってしまった場合は速やかに警察に連絡する必要があるので、車検証のコピーなどを用意しておくこともお忘れなく。