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乗用車から撤退して20年! 今もなおクルマ好きを魅了する「いすゞ」が送り出した名車を振り返る

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TEXT: 小鮒康一(KOBUNA Koichi)  PHOTO: いすゞ自動車/自工会/Auto Messe Web編集部

ジェミニ

 1974年に初代モデルが登場したジェミニは、当時提携していたGMの世界戦略車構想に基づき、前年にデビューしていたオペル カデットをベースに開発された。車名のジェミニも兄弟車が多く存在することから、ふたご座という意味を持つものが採用されている。ジェミニ

 プラットフォームこそカデットのものを採用していたが、エンジンはいすゞ内製のものを搭載している。1979年に登場した後期型では経済性に優れるディーゼルエンジン搭載車と、1.8LのDOHCエンジンを搭載したホットモデル「ZZ」をラインアップし、人気を確固たるものとしたのだった。

 1985年には2代目となる「FFジェミニ」が登場。このモデルは車名の通り前輪駆動レイアウトを採用し、オペル カデットとの兄弟車関係も解消。その一方でGMとの関係は続いていたため、逆にジェミニをベースとしたモデルがGMからリリースされていた。ジェミニ

 このモデルでは1.5Lターボエンジンを搭載し、イルムシャー社が手掛けたサスペンションを持つ「イルムシャー」グレードが知られるところだが、何よりその存在を有名にしたのは、「街の遊撃手」のコピーで知られるテレビCMだろう。ジェミニ

 このCMはクラシック音楽などに合わせてパリの街中をジェミニがカーアクションで駆け抜けるもので、当時リアルタイムで見ていた人はもちろん、のちにそのCMを知った人にとっても衝撃的なものだった。

 そしてその後を受けて1990年に登場した3代目はボディサイズを拡大し、ボディタイプもセダンとハッチバックのほか、クーペモデルも追加。ジェミニ

 先代モデルで好評だった「イルムシャー」や「ZZ」シリーズは継続設定されており、180psを発生するインタークーラーターボエンジンにフルタイム4WDを組み合わせた最強モデル「イルムシャーR」も登場した。

 またリヤサスペンションにはナチュラル4WSと称したトーコントロール機構を持った先進的なものを採用していたが、やや未成熟な状態でリリースされてしまったこともあって評判が芳しくなかったのは残念だった。

ピアッツァ

 117クーペの後継車種として1981年に登場したピアッツァは、117クーペと同じくジウジアーロ作品であり、コンセプトカーとしてジュネーブショーに出展された「アッソ・デ・フィオーリ」のスタイルをほぼそのまま市販車で再現した意欲作だった。

 プラットフォームこそ初代ジェミニのものを使用していたが、「I-TEC」と名付けられたフルマイクロコンピューター・エンジン制御システムを採用。内装もサテライト式コックピットを導入するなど近未来感に溢れたクルマに仕上がっていた。ピアッツァ

 通常モデルではリヤサスペンションは3リンク/コイルのリジッド式であったが、1988年にロータスのチューニングを受けて登場した「ハンドリング・バイ・ロータス」では、リヤサスペンションが5リンク式にあらためられた。名ばかりでない改良がなされていたのも、特筆すべきポイントだろう。

 そんなピアッツァは1991年に2代目へとフルモデルチェンジ。先代と同じくジェミニがベースとなっていたが、この代では3代目ジェミニのクーペモデルの実質的な兄弟車となっている。フロントマスクこそ初代と同じくセミリトラクタブルヘッドライトを採用していたが、初代のスペシャリティカー感は薄れてしまっていた。ピアッツァ・ネロ

 そのため販売台数も初代モデルには遠く及ばず、93年の乗用車生産からの撤退も相まってわずか3年ほどしか販売されずにひっそりを姿を消している。

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