オープンカーこそ真のデートカーだった
今では遥か昔の昭和のデートカーと言えば、初代トヨタ・ソアラ(1981~)、2代目ホンダ・プレリュード(1982~)などが定番だった。両車のデビュー年となる1980年代には、ソアラやプレリュードほど目立たなかったものの、隠れデートカーとして密かに人気を得ていた「通」のデートカー、それもオープンモデルがいっぱいあった。
ホンダ・シティ カブリオレ
国産車の筆頭と言えば、1984年に登場したホンダのシティカブリオレである。カラフルなボディカラーで手ごろな価格のオープンモデルとして、デートカーに最適な1台だった。だが幌を畳むのには手間が必要で、筆者の知り合いは納車当日、幌の畳み方を間違えてリヤウインドウを割ってしまった! という悲しいケースもあった(筆者は現場に居合わせた)。とはいえ、気分をあげる、カジュアルなデートにぴったりだったのである。
トヨタ・セリカ コンバーチブル
1987年には、1985年にFF化された「流面形」セリカのコンバーチブルが登場だ。しかも、輸出仕様の2ドアクーペをベースに仕立てられ、アメリカから逆輸入されていたのだから、贅沢。当時のセリカの人気は絶大で、そのオープンモデルだけに、デートスポットでは羨望の眼差しを浴びていたほどだった。
日産シルビア コンバーチブル
そうした国産オープンモデルの密かなる人気に拍車をかけたのが、1988年、当時のデートカーの定番たる日産シルビアに加わった、オーテックジャパン謹製のシルビアコンバーチブル。人気のK’sグレードをベースに、オープンカーの製造を得意とする高田工業が架装を担当していた。流麗なボディのオープンカーだから、スタイリッシュ極まるスタイリングにため息が漏れたほどである。翌年のグッドデザイン賞に選ばれたと記憶する。