4.3L化の1,000ps仕様でも燃費よく快適に
「今度は4.3Lを試そうということで仕立てました。佐藤選手の影響でサーキットの楽しさもわかってきたので、テーマはコンビニに行けてサーキットでもそこそこ速い仕様です」
杉野代表にとっての「そこそこ」の基準はかなり高い。鈴鹿で2分8秒切りを目標とし、2020年にはついに7秒台に入った。カナードといった大袈裟な空力パーツは付けずにGTウイング程度に留める。
「ドラッグのように何が何でも1番を取るといった意気込みは、正直言ってサーキットではありません。どんどんストリートとかけ離れていって、キリがないですから。『そこそこ』で十分。お客さんもそれで満足してくれています」
このクルマで苦労したのはインジェクターだという。1,000psオーバーに対応できるように1,300ccの容量を確保したい。いろいろ試したが満足いくインジェクターは見つからなかった。大容量なので霧化が難しいようだ。どうしてもカブり気味になってセッティングに手間取ってしまう。考えあぐねた末に評判の良いメーカーに製作を依頼した。噴射の角度や広がり具合、それにホールの数など、いろいろと検討して出来上がったインジェクターが、すこぶる具合が良い。すぐにみんなが使えるように製品化に踏み切った。
「RB26DETTでも試してみたのですが、想像以上に優秀でした。1,000ccでもグズついていたのに、これにしたら一発始動ですから驚きました」
インジェクターの効果だけではないだろうが、このR35は燃費の良さも魅力の一つ。高速道路で9km/L近く走ってしまう。ノーマルでも10km/L程度だから圧倒的に優れている。仲間とのツーリングでもノーマルのR35と給油ポイントは同じだ。
「自分のクルマには必要以上に愛情を持たないようにしています。どのクルマも苦労を共にしてきたので愛着はひとしお。でも懐かしんでばかりはいられない。手放さないと次に進めません。場所もお金も続かない。余力を次のクルマに費やします」
愛車との別れの辛さを乗り越えてきたらこそ杉野代表の今がある。
●ENDLESS杉野康人代表のGT-R PROFILE
所有車両:R35
■年式:2012年式
■乗り始めた時期:2018年4月
■現在の総走行距離:10万9,594km
■現在の車両スペック
エンジン:HKS4.3Lキット/GT1000+フルタービンキット/IN270度 EX278度カム/サージタンク、TRUSTインタークーラー/DCTクーラー、オリジナルインジェクター1,300cc/サーモキラ
ー/オイルキャッチタンク/フューエルポンプ295L×3、RH9マフラー
電子パーツ:オリジナルECM/TCM HKS EVC6-IR
TRUST AVC
足まわり:オリジナル車高調/フロントアッパーアーム/リヤロアアーム/リヤキャンバーアーム/リヤトーコントロールバー
ブレーキ:ENDLESSレーシングMONO6キャリパー
駆動系:NEKO CORPORATION強化ミッション、HKSクラッチパック
エクステリア:オリジナルフロントディフューザーVer.2、Kansai SERVICEフロントフェンダー/GTウイング、TOP SECRETサイドディフューザーVer.2/リヤオーバーフェンダー/リヤアンダーバンパーVer.2/リヤアンダーフィン、VARISボンネット
インテリア:RECARO RMS/SR6、RH9ステアリング
ホイール:ADVAN RACING R6(12J×20+20)
タイヤ:MICHELINパイロットスポーツCUP2(305/35ZR20)
パワー&トルク:1,100ps/6,800rpm 130㎏-m/6,000rpm