グループCカーやレーシングフォーミュラが公道を駆け抜ける
参加車は全部で163台。Turismo(ツーリングカー)からGran Turismo(GTカー)、Sport(スポーツカー)、Prototipo(プロトタイプカー)、Monoposto(シングルシーター=レーシングフォーミュラ)、Rallyssime(ラリーカー)、Campioni a Scuola!(レーシングスクールのチャンピオン=ジュニア・フォーミュラ)、そしてAnteguerra(戦前のクルマ)と8つのクラスに分けられています。イセッタのようなマイクロカーからグループCのポルシェ956、アメリカンV8を搭載したCan-AmカーやF2、F5000といったレーシングフォーミュラまでが30秒ごとにスタート。
なので前走車に追いつくことも多々あって、コース前半の直線的なパートではそれを追い越していくシーンも見受けられましたが、後半のワインディングでは抜くことも難しく、ポルシェ906“カレラ6”の背後にポルシェ910“カレラ10”が迫る、というようなドラマチックなシーンが展開されることもしばしばでした。
何よりもグループCやCan-Amカー、あるいはF2やF5000といった純レーシングカーが街なかをかっ飛んでいく様は、究極の非日常。例えそれが1台だけの走りでも、それが日常的なスピードであったとしても、コースサイドで見ているファンにとっては1970年代のメーカー選手権に代表されるスポーツカーレースが思い起こされて“レーシングな時間”を堪能できるというわけです。
参加車については、また回を改めて紹介することにしようと思いますが、多数派はアバルトで、それにアルファロメオやマセラティ、フィアットなどが加わってイタリア車が8割近くを占めていました。そのイタリア車のなかにはジャンニーニやチシタリアなど珍しいモデルもありました。
またラリーカーやジュニア・フォーミュラの数が多いことにも驚かされました。これに数多くのアバルトや、レーシングフォーミュラ・クラスのF3などは、コースにもっともフィットしていたのでしょうか、元気よくワインディングを走り抜けていく姿が印象的でした。
競技ではなくパレードランに近いものがあって、ヘルメットも被らずに助手席の参加者だけでなくドライバー本人も観客に手を振る様は、長い間レースを取材してきた身には少し違和感が残ったのも事実です。レースはやはり観るもので、参加するものではない、というのが個人的な意見ですが、それでもこんなパレードランだったら、古いレーシングカーでワインディングをカッ飛ぶのも悪くない、と思うようになっていました。
もっとも古いレーシングカーを購入する資金などを考えると、完全にアナザーワールドなのですが、それでも取材を終え、また来年も取材に来てみたいと思わせるほど魅力的なイベントだったのは間違いありません。