ピラーがそのまま残ったような「カブリオレ」もあった
BMWのロゴエンブレムを写し込んだ赤いエンジンフードのアップを表紙に使ったE30型初期のカタログはE21型時代から受け継いだデザインだった。最初は318iだけだったが、モデルが追加されるに連れ表記も増え、手元にある「赤い表紙」の2冊目では、318i/320i/325i/325iC/325iXと増えている。
このなかで325iCがカブリオレで、当初はバウアー社製のサイドウインドウとロールバーが残る構造を採用、追ってサイドウインドウ部分に三角窓だけを設けたフルオープンへと進化している。また325iXは非常にレアな4WDモデルで、前:後=37:63のパワー・トルク配分に設定されたセントラルディファレンシャル、セルフロッキングビスカスカップリング方式を採用。FRモデルに対し20mm高い車高、専用デザインのホイールアーチ(全幅はFR社に対して17mm広い1662mm)も特徴だった。
ステーションワゴンの「ツーリング」も登場
さらにE30型では、初のワゴンモデルの「ツーリング」が登場したのも見逃せない。02時代のファストバックモデルの呼称を受け継いだこのツーリングは、E30型セダンのカッチリとしたボディ、走りはそのままにより多用途性を高めたもので、ラゲッジスペース容量は370~1125L、最大長1545mmのスペースはBMWらしい上質なカーペットが貼られ、車両重量は4ドアセダン+60kgの1320kgとなっていた。
カタログの諸元表を見較べると、E30型の初期型と最終型で、全長4325mm×全幅1645mm×全高1380mm(ホイールベース2570mmも)の3サイズがまったく変わらなかった点にも、なんともポリシーを感じた。走りよし、スタイルよし、クオリティよし。いささか暴論かもしれないが、今日の日本のセダンの衰退はここから始まったのでは? と思えるのがE30型BMW3シリーズの存在だった。