3位/K20A型直列4気筒DOHC
[搭載車両: シビックタイプR(FD2)など]
3位はCL型7代目アコードユーロRやFD2型シビックタイプRに搭載されたK20Aだ。こちらはi-VTECを採用し、FD2型シビックタイプRでは最高出力225ps/8000rpm、最大トルク21.9kg·m/6100rpm、アコードユーロRでは最高出力220ps/8000rpm、最大トルク21.0kg-m/6000rpmをそれぞれ誇った。
このK20Aは、ボア&ストロークが86.0mm×86.0mmとスクエアさが効いているのか、スポーティで乗用向けにも応えてくれるマルチな性能を持ち合わせていた。気難しさは皆無ながら、高回転域での気持ち良さは圧巻。3位ながら筆者の思い入れが強すぎかもしれないが、ほかのDOHC VTECを含め、内燃機関としてのエンジンの楽しさを伝える伝道師のような存在だったと感じさえてくれる。
4位/F22C型直列4気筒DOHC
[搭載車両: S2000(AP2)]
続いて4位はS2000の後期モデルとなるAP2型に搭載されたF22Cだ。排気量は2.2Lでボア&ストロークは87.0mm×90.7mmとなっている。特徴は先代の2L(F20C搭載)よりもスペックを捨ててまでドライバーに寄り添ったこと。
初期型S2000のF20Cがボア&ストローク87.0mm×84.0mmのショートストローク型で、最高出力250ps /8300rpm、最大トルク22.2kg-m/7500rpmだったのに対して、後期型S2000のF22Cは排気量アップにともない、最高出力242ps/7800rpm、最大トルク22.5kg-m /6500〜7500rpmと、若干大人しい仕様に変更された。とはいえ上記のスペックを比較してみるとハイパワーさはそのままに、超高回転型を維持しながら実用性も高めたエンジンであることが分かるはずだ。
5位/C32B型V型6気筒DOHC
[搭載車両: NSXタイプR(NA2)]
第5位は初代NSXタイプRに搭載のC32Bだ。あのNSXタイプRのエンジンなのに5位? という反論が聞こえてきそうだが、排気量3179cc、最高出力280ps/7300rpm、最大トルク31.0kg-m/5300rpmという数値は当時では期待以上であったのは間違いない。だが、自動車史の世界遺産になれるかと言ったらそれは難しい。しかも6気筒エンジンでは、日本にも優秀なエンジンが揃っており(国内にはRB26DETTなど)、国内外のライバルエンジンと比較すると、どうしても辛口にならざるを得ない。それゆえに5位とした。
もちろん93.0mm×78.0mmのボア&ストロークによって、高回転NAの気持ち良さを発揮できるエンジンではあったが、エンジン単体で評価するとB18CやH22Aなどの上位に選出したユニットと比較すると、個人的に少し物足りなさがあった。とはいえ、NSXタイプRを走らせると思わず「うひょー!」と笑顔がこぼれてしまう楽しさがあり、C32Bのエンジン性能とハンドリング性能の両面で評価できるのであれば、1位にランクインしたことは間違いないのだが。