先代モデルと違って現行はシエラが人気に
古くからジムニーファンを自称する筆者には、不思議でならない。そう、現行型のジムニーJB64(軽自動車)&ジムニーシエラJB74(普通車)兄弟の勢力図だ。なにしろシエラの売れ行きは、ジムニーに迫るほど。納車の状況はまだまだ、ジムニーもシエラも1年以上待ちと言われているようだが、“普通車ジムニー”がこれほどの人気を得るとは、ジムニー史上、一度もなかったことなのだ。
ジムニーのプロショップに聞いてみても、あるショップは“JB64とJB74で半々”、別のショップは“JB74が3割くらい”の売れ行きを見せている、と語る。先代のジムニーJB23とシエラJB43では、JB43の売れ行きは1割にも満たなかったはずなのに……。
ともあれ現行のジムニーは、軽のJB64か、普通車のJB74か、どちらを選べばいいのか悩むユーザー(候補)さんも多いことと思われる。そこで今回は、それぞれのアドバンテージ、あるいはウィークポイントを探りつつ、自分にベストバイなジムニーを検証していただきたいと思うのだ。
長距離走行派にはうれしい1.5Lエンジンの余裕
まずジムニーJB64とジムニーシエラJB74の決定的な違い、それは何度も言及しているとおり、軽自動車と普通車の違いだ。JB64は660ccターボエンジンを搭載、JB74は1500ccエンジンを搭載する。
ボディサイズもJB64は軽規格、JB74は普通車5ナンバーサイズ。ただしJB74はワイドトレッド+オーバーフェンダーの装着で普通車サイズになってしまうためで、実際、室内サイズはJB64もJB74も、まったく同じサイズ。つまり、ボディ自体は両者、共通なのだ。
もちろん軽と普通車では自動車税が大きく違うわけで、税金が割高なのに室内サイズが同じ……。このことが先代ではシエラ不人気の大きな要因だった。しかし現行型では、それをシエラのウィークポイントと考える人は少ないようだ。室内ユーティリティはJB64もJB74も同じ、乗車定員も両車とも4名となるのだが、ルーフキャリアの装着やトレーラーの牽引、というユーティリティの拡張性を考えると、シエラにかなりのアドバンテージがあるはずだ。
ポイントは、トルクフルな1500ccエンジン。先代JB43の1300ccエンジンはJB23の660ccターボと比べても、パワー&トルク感に今ひとつモノ足りなさがあった。だが、JB74のエンジンは余裕があり、普段乗りも高速走行も、これといった不満はない。それどころか、荷物を満載したような状況では、明らかにJB64の660ccターボより余裕があり、なるほど、これがJB74が支持される理由なんだな、と納得してしまうのだ。
加えて、ワイドトレッドによる走りの安定感、大型オーバーフェンダー装着による、クロスカントリーカーらしいワイルドなフォルム、そして足まわりをカスタムすると、ジムニーにはありえないほどの大径タイヤを装着できる……など、JB74の魅力は挙げたらキリがなさそう。
軽自動車らしいコスパと取り回しの良さは魅力
一方、JB64のアドバンテージは、やはりそのコスト。とくに自動車税や高速代などの割安感などは大きな魅力だ。またユーティリティの面でも、ふたり乗りと割り切れば大きく、そしてスクエアで使いやすいラゲッジルームを手に入れることができるし、JB64&74になってレインモールを採用したボディは、ルーフキャリアの装着もカンタンにしている。
何より、街中でのランナバウト性は、軽自動車ならではといったところ。ちなみに高速道路でのクルージングも、思っているほどツラくない。実用性という点でも、JB74と十分、勝負になるだろう。
街乗りメインならジムニー、アウトドアガチ勢はシエラが◎
さて、そろそろ結論を出さなくては……。JB64とJB74、結局ベストバイはどちらか? 普段の買い物や通勤、ときにアウトドアやオフロードへ、と考えるなら、JB64がいいのかも。維持費の安さやランナバウト性能もバランスされているから、老若男女、世代を問わずオススメできる。そしてもっとヘビーなアウトドア派や、高速道路を頻繁に利用するような方には、やはりJB74だ。長距離ドライブの余裕や、キャリヤやトレーラーなどユーティリティの拡張、さらに“軽枠”に制限されないハードなカスタムなど。カーライフを楽しむ可能性は、JB74のほうが広いような気がする。
禁断の“兄弟対決”となった今回。しかしこの2台にはしっかり、それぞれのコンセプトが息づいていた。あ、でも最後になったが、どちらも2ドア車。子連れのファミリーが選択するには厳しいかもしれない……。まあ、始めから眼中にはないかもしれないが……。