海外流出で価格高騰に拍車がかかる……
今が底値の国産MT車の狙い目モデル
世界情勢の不安や円安、半導体や資材不足など、さまざまな要因で新車が作れなくなり、中古車需要の高まりから新古車が新車価格を上まわるなどの逆転現象が起きている。ただでさえ「100年に一度の大変革」(=電動化、自動運転など)という台詞が自動車業界に溢れるなかで、今大きな逆風が吹いている。
そんななかで日本のMT車人気は依然として続いており、円安がさらに拍車をかけるように第二世代GT-R(R32、R33、R34)をはじめとしたネオクラ世代(’80〜’90年代)モデルが、世界中の富裕層から諸外国の一般庶民レベルにまで、良くも悪くも注目されている。そこで、今は極端な値上がりの兆しはないものの、今後高騰する可能性がある国産MT車をランキング形式で紹介しよう。
タマ数は多くカスタムベース車として人気
[100系トヨタ・マークⅡ/チェイサー/クレスタ 2.5ツアラーV/中古車価格:250万円〜350万円(※カスタム済車両は〜400万円)]
まずは100系マークⅡ/チェイサー/クレスタの三兄弟だ。2L直6から3Lの直6までをラインアップするトヨタのドル箱モデルは、ATが大多数ながら1JZ-GTE型2.5LターボのツアラーVを設定。ドリフトベース車として人気を博し、中古車相場はすでに高騰しており250〜350万円程度だ。ただし、2L直6の1G-FEを搭載するベーシックグレードの2.0グランデ(マークⅡ)、2.0アバント(チェイサー)、2.0スーパールーセント(クレスタ)にも5速MT仕様がラインアップされており、中古車市場でも数こそ多くはないが100万円以下で狙うことができる。
約四半世紀前の中古車と考えると相場は決して安くない値付けだが、トヨタの名作エンジンのひとつであり、最高出力280ps/最大トルク38.5kg-mを発生させるパワー&トルクフルなエンジンは、RB26DETT同様に今乗っておきたいと言える。ただし注意点があり、AT仕様をMT仕様に換装したモデルもあるので、購入の際はしっかりと見極めることが大切だ。もちろんきちんと改造・整備されている個体も多く、投機目的でないのであれば、良い個体が選べれば素敵なMTライフが待っているはずだ。
トヨタのコンパクトホットハッチの系譜モデル
[EP91型トヨタ・スタレット グランツァV/中古車価格:50万円〜120万円]
価格的にもっとも狙い目と言えるのは、国内最後のスターレットとなった5代目モデルのEP91型スターレット・グランツァVだ。スターレットはKP61やEP71&EP82など、まさに走りのコンパクトハッチとして各世代で一世を風靡。KP61やEP82はタマ数自体も少なく、すでに価格高騰が始まっているのに対して、5代目スターレットのEP91型は比較手頃な価格をキープしており、タマ数も多いことから走行距離やボディの状態などを吟味しながら選ぶことができる。
もちろん本命は、最高出力135psを発生させる1.3L直4ターボの4E-FTE型エンジンを搭載したグランツァVとなるが、タマ数こそ少ないが1.3L NAの4E-FE型エンジン(最高出力85ps)を搭載するグランツァSにも5速MT車が設定されている。ハイパワーを求めないのであれば、グランツァSもありだ。
日陰の存在も過去最高の販売台数を誇った
[AE92型トヨタ・カローラレビン・スプリンタートレノ/中古車価格:150万円〜300万円]
少しずつ高騰傾向にあるのがAE92型カローラレビンとスプリンタートレノだ。AE86の後継モデルとしてデビューした両モデルは、FRからFFへと駆動レイアウトを変更。ハチロクがドリフトブームで脚光を浴びたことで、キューニーは不人気車の烙印を押されるが、じつは過去最高の販売台数を記録した大ヒットモデルになった。
しかし、1990年代にはあんなにも街中を走っていたキューニーのレビトレだったが、中古車市場での個体数は少なく、あえてFFのレビトレが欲しいという人は絶滅する前に手に入れておきたい。しかも、5ナンバーサイズのコンパクトで端正なスタイリングはいま見ると斬新である。トップグレードの「GT-Zスーパーチャージャー」には、1.6L直4DOHCの4A-GE+スーパーチャージャーの4A-GZEを搭載。最高出力145psを発揮するとともに過給器付きの恩恵もあって、最大トルクを4400rpmで発生させるトルクフルな走りはスペック以上に頼もしいものであった。