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巨大なタイヤで水に浮く! その場で360度旋回OK! ウクライナの水陸両用車「シェルプ」がユニークすぎる

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TEXT: 南陽一浩(NANYO Kazuhiro)  PHOTO: SHERP

戦車や建機と同じ信地旋回で小回り性能も抜群

 実際、タイヤ以外にも通常のオールテレイン・ヴィークル(ATV)にはない機構が数々、シェルプには採用されている。通常のシャフトを介したステアリングは、故障やスタックの要因となりやすいため採用されず、左右輪列それぞれの駆動力を一時的にカットできるスキッド・ステアリングという仕組みを備えることで、ほぼその場で回れるほど小回り性能を確保。エクストリームな環境や条件下では、数センチ差で回れる・回れないの差が大きいのだとか。

タイヤのトレッドパターンがクローラーとしても機能する

 当然4輪駆動だが、フロントシート列の背後に搭載したヒュンダイの1.8Lディーゼルエンジンとルノー製6速MTから、プロペラシャフトとデフを介して駆動されるチェーンと輪列は、常時オイル・バスに漬けられ決して油膜切れを起こすことがないとか。これらのドライブトレーン・システムは、スウェーデンのSSAB社ドコル鋼を採用したバスタブ状のアンダーボディにすべて格納されており、低重心設計の要となっている。

 さらに上モノ、つまり乗員や荷物を収納するキャビンはアルミ製で、燃料タンクはホイール内に各58L、つまり最大で232Lもの容量となり、これまた低重心に寄与している。燃料は傾斜路面などを走行中にフューエル・スタービングを起こさないよう、エンジンにはすぐ傍のリザーバータンクから供給される。

トレーラーを牽引する仕様もあり

低床・低重心でキャビンは意外と広い

 キャビンへ乗り込むにはフロント側、ドアというよりは上下2分割のハッチからで、下側にはラダーが備わる。キャビン全体は約7.8m2ほどの容量があり、リヤスペースの両側に吊り下げ式シートを誂えれば片側に3人、エンジンのハッチ上の1席と合わせて最大9人が乗車可能だが、耐積載荷重は2400kgある。リヤの床下は135L容量の収納にもなり、緊急脱出用ハッチも兼ねている。

レスキュー仕様のキャビン

 何よりシェルプのユニークな機構は、排気ガスをタイヤに充填&循環させるプニューサーキュレーティング・システム。路面や状況に合わせて、タイヤの内圧を車内のコントロールパネルから自在に操れることで、サスやステアリングすら省きつつ、究極の走破性と信頼性を両立させたのだ。電気自動車には決してマネのできないハイテク、でもある。余談ながら、シェルプ搭載のヒュンダイ製ディーゼルはユーロ5規制をクリアしている。

排ガスでタイヤの内圧をコントロール

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  • 燃料タンクは4つのホイールの中
  • 排ガスでタイヤの内圧をコントロール
  • タイヤのトレッドパターンがクローラーとしても機能する
  • 箱のようなボディに大きなタイヤが付く
  • レスキュー仕様のキャビン
  • タイヤ空気圧を排気ガスで調整することで走破性を高めている
  • 川も泥地も岩山も走破できるシェルプ
  • トレーラーを牽引する仕様もあり
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