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ランチアやアバルトも激走! 「ヴェルナスカ・シルバーフラッグ」で気になったイタリアの名車たち

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

パドックで見かけたトランスポーターたち

 ヴェルナスカ・シルバーフラッグの参加車両が魅力的なことは、ここまでに紹介してきたとおりですが、その参加車両をパドックに運び込んできたトランスポーターも、参加車両に負けず劣らず、魅力的で興味深いものがありました。

 参加車両の多くはナンバー付き車両で、ステーションワゴンやミニバンの伴走付きながら自走で乗り込んできた猛者も見かけましたが、多くはトランスポーターに積載されてパドック入りしています。そのトランスポーターですが、日本国内のレースを引き合いに出すと、今やスーパー耐久でも当たり前のようにピット裏~パドックを占有するようになってきた大型トラックは、今回のヴェルナスカ・シルバーフラッグでは数台だけ。ヒルクライムで見かけたトランポ

 その一方で、FIATドゥカートで競技車両を積載したトレーラーを引っ張ってくるタイプが多数派を占めていましたが、ドゥカートのシャシーキャブを利用したボックスバンも多く見受けられました。牽引式のトレーラーでは、シャシー(フレーム)だけでサイドパネルやルーフのないものからサイドパネルやルーフのあるボックス形状のものまでさまざま。ここではキャンピングカー・メーカーとして知られる、ウエストファリア製の1台を紹介しましょう。ヒルクライムで見かけたトランポ

 シャシーにフロアを貼り、サイドパネルからルーフまでがワンピースの“蓋”を備えたタイプで、普段は庭の片隅で旧車のガレージ代りに使用できそうです。もっとも、これだけの機材を揃えるくらいなら、ちゃんと旧車用のガレージも備わった邸宅にお住まいでしょうけど……。

 それはともかく、パドックに停めて蓋を開け、なかからアバルトが現われただけでもファンならば卒倒しそうなくらい恰好良かったです。一方、ドゥカートのシャシーキャブを利用したボックスバンですが、ホイールベースの長さによって何種類かのシャシーが用意されているようで、まさにオーダーメイドのトランスポーターが手配可能という訳です。ヒルクライムで見かけたトランポ

 そんな豪華なトランスポーターが多いなか、1台のデリバリー・トラックが目を惹きました。これはトランスポーターそのものよりも積載方法、というか積み下ろしで注目を惹いた1台でした。軽便なリフトを備えたデリバリートラックは、国内でもコンビニに食品などを配達するトラックとしてよく見かけますが、クルマを積載するためには前後方向(折り畳んだ時には上下方向)の寸法が足りません。ヒルクライムで見かけたトランポ

 だからクルマを積載して運搬しようとは普通は考えないのですが、ヴェルナスカ・シルバーフラッグで見かけた1台は見事な力技で“荷下ろし”をしていました。まず荷台からクルマを引っ張り出して、リフトの淵ギリギリまで進めたところでクルマをジャッキアップし、フレームの下に台車を潜り込ませます。ミッドエンジンなので、基本的には重心はリヤよりですから、台車もクルマの後方に持っていきます。

 そして台車ごとクルマを前方に引っ張り出します。リヤウイングは取り外していますから後輪がリフトに載り出せば、それでリフトを下降させることはできますが、流石に重心はそこまで後ろではなく、台車も後ろにつけるとフロントが落ちてしまいます。そこで登場するのが人間ジャッキ(!)。ヒルクライムで見かけたトランポ

 台車と後輪で支えられるようにノーズを持ち上げて、少しずつリフトを下げていくのです。クルマが無事地上に降り立ったときには、思わず拍手してしまいそうになりました。そんなこんなで今回のヴェルナスカ・シルバーフラッグ取材は、勉強にもなりましたが大変楽しむことができました。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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