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乗り手を選んでいるのかと思うほどキョーレツ! ホンダS2000の刺激的な走りに悶絶

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 本田技研工業/Auto Messe Web編集部

限りなくレーシングカーに近い切れ味の鋭さを見せる

 とにかくエンジンはレッドゾーンまでよどみなく吹き上がり、最高出力250psは伊達ではないことを感じさせた。ハンドリングはノーズの長さを感じさせないキレのあるもので、ステアリングギヤボックスの剛性アップやロングアームを採用したリヤサスによって、高いトー剛性を保ちながらトーイン特性を持たせた効果によって優れた走行安定性と、サーキットを走らせればタイムに直結するような速さを追求。ゆえに走らせるステージはストリートではないことを試乗してすぐに感じとることができた。S2000のサーキット走行

 初期型のAP1型に搭載のF20C型エンジンは、とにかく回したくなるエンジンであり、トルクの最大発生回転数が7200rpmということで、つねに“アクセルを開けろ!”とクルマに鞭を打たれているような気にさせるものであった。ハンドリングも首都高の速度域では“もっとシャープに操作しろ!”とクルマが駄々をこねるようにも感じられ、それが逆に楽しかったりもする。これは筆者の肌感覚ではあるが、市街地では10ある能力のうち2~3程度しか発揮できないのではないだろうかと思うほど。

F20C型直列4気筒DOHC VTECのパーツ構成 ちなみに専用開発のハイグリップタイヤが装着されており、フロント205/55R16、リヤ225/50R16の各サイズは現在のクルマから見れば可愛らしいサイズに見えるが、それがキレのある走りをサポート。昔のスポーツカーのように飛ばさないとエンジンの調子が悪くなるような雰囲気に溢れていた。この感覚は運転したことがある人にしか味わうことができない、これこそAP1型S2000の本質だったように思う。

初期型は過激すぎたのかマイチェンでマイルド仕様に改良

 そんな切れ味鋭いレーシングカーのようなS2000であったが、1年後にタイプVを追加。VGS(バリアブル・ギヤレシオ・ステアリング)と呼ばれる、世界初となる車速と舵角に応じてステアリングのギヤレシオを運転状況に応じて無段階に切り替えることを可能にしたことで、「走る楽しさ」と「操る喜び」を実現。峠道ではステアリングの切り始めからレスポンス良くクルマが向きを変え、逆に高速走行時では機敏過ぎないように安定感を確保。速度域に合わせてドライバーの要望に応える仕様となっていた(筆者としては多少の違いにしか感じられなかったのだが……)。S2000タイプVのフロントスタイル

 このVGSに合わせて専用ダンパーやスタビライザー、専用LSDが装備されたものの、ステアリングの切れ角(ロック・トゥ・ロック)が従来型の2.4回転に対して1.4回転という、ステアリングを持ちかえなくても良いほどまでに切り替わった。S2000に採用のVGS

 さらに後期型のAP2型は2Lから2.2Lエンジンへと排気量を拡大したことで、ドライバーが走りたいように走れるクルマへと激変した点が面白い。よく自然吸気時代のDOHC VTECをジキルとハイドで例えるが、S2000の進化(前期→後期)はまさにジキルとハイドであった。S2000のリヤスタイル

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