真夏のサーキット走行はクルマもドライバーもクーリングが大切!
今年の梅雨はあっさりと終わり、猛暑の夏が到来。基本的に窓を全閉にして走る真夏のサーキット走行は、ドライバーだけじゃなくクルマにとっても非常に過酷な環境であり、熱対策が非常に重要だ。そこで大切な愛車を壊さないためのカスタム、そして走らせ方について考えてみたい。
追加メーターの装着で水温&油温のチェックは必要不可欠
優先すべきは高精度な(追加メーターなど)水温計や油温計を装着して、クルマがどんな状態であるかを把握すること。クーリングは「過ぎたるは及ばざるが如し」で、真冬の走行であれば冷えすぎることでまた別の問題が発生することもある。不安なので考えられるクーリング対策をすべて実施したからと安心してはいけない。オーバークール(冷えすぎ)でせっかく装着したパーツを取り外すハメになるなんてこともあり、それではお金も手間もムダになってしまう。
高性能なラジエターキャップ/クーラント/サーモスタットの交換は必須
本題に戻って具体的なオーバーヒート対策を考察する。涼しい季節なら高性能なラジエターキャップやクーラント、サーモスタットの交換くらいで乗り切れるクルマも多いと思われる。しかし近年は35度どころか40度の酷暑も珍しくなく、サーキットを安心して走るにはラジエターの容量アップが必須なケースもある。コアの厚さだけじゃなく材質や冷却水の循環方式によって性能の違いがあるので、プロショップと相談しつつ自分のクルマにベストなラジエターを選びたい。
また開口部の大きなフロントバンパーや走行風を導くエアガイド、エンジンルームの熱気を排出するダクトも意外なほど効果が大きい。とはいえ上記アイテムをひと通りカスタムすると、出費もそれなりに大きくなってしまう。そこで、お金をかけずに走り方で何とかしたいのであれば、クーリングラップを挟むのがもっとも効果的だ。アタック時より高いギヤを使ってエンジンの回転数をなるべく上げず、前のクルマと重ならないポジションで走ることでラジエターに風を当てる。長いストレートがあるサーキットはとくに冷えやすく、クーリングラップは水温だけじゃなくタイヤやブレーキにも優しいというメリットも大きい。
ドライバー自身のクーリングでもオーバーヒートは防げる
コースが混雑している場合は、スロー走行していると“邪魔になるのでは……”と気が引けるかもしれない。そのような状況では、ピットロードをゆっくり通過するだけでもある程度はクーリングすることができる。ドライバーの身体にはキツいというか危険かもしれないが、ヒーターを使用すると水温が下がることも覚えておくと便利だ。例えば、レースによってはラジエターの変更がレギュレーションで認められていない場合は、走行中どころかエンジンをかけた瞬間からヒーターを全開にすることも多い。
ただし走行会では決められた周回数、または走行時間をきっちり走り切る必要はないし、暑さで朦朧としたまま走るのは自身の身体はもちろん周囲のクルマにとっても危険だ。そのような状況ではピットに戻ってからアフターアイドリングを行い、同時にドライバーはクルマから降りて、自分自身のクーリングもしっかり行いたい。
最後にもっとも重要なことに触れておきたい。いくら高性能な水温計や油温計を装着しても、走りに没頭し数値を見なければ意味がないということ。操作に余裕のあるホームストレートなどでチェックするクセを付けて、必要とあらばクーリングや走行を止め(ピットに戻るなど)オーバーヒートを未然に防ぐことで、大事な愛車を労ることができるはずだ。