自動車博物館だけでなくサーキットやレーシングスクールも参加するMOTOR VALLEY
あらためてMOTOR VALLEY PASSPORTを観てみると、今回エミリア・ロマーニャ州の中で巡る予定になっている、モデナにある3つの博物館と、パルマにあるダラーラの本社に併設されたダラーラ・アカデミーの4カ所は当然のようにリストに入っていました。
モデナではマセラティとパガーニ、そしてエネルギカ・モーター・カンパニーという名の電動バイクメーカーの本社/ショールームに、リジーニ・コレクションとスタンゲリーニ博物館、そしてアウトドローモ・ディ・モンツァと6カ所ものスタンプポイントがあり、パルマでもダラーラ・アカデミーのほかにアウトドローモ・ディ・ヴァラーノとスクーデリア・デ・アダミッチ(レーシングスクール)と2カ所のスタンプポイントがありました。ちなみに、リジーニ・コレクションとスタンゲリーニ博物館は以前に訪れていますが、その当時はMOTOR VALLEY PASSPORTも存在しておらず、スタンプもありません。
それにしても、州が支援して自動車博物館やメーカーのショールーム、サーキットやレーシングスクールまでを統括するMOTOR VALLEY という構想を展開し、それらを巡る観光客に向けてMOTOR VALLEY PASSPORTを発行して観光誘致を促している状況は、もう羨ましいのひと言です。
ちなみに、フェラーリ博物館とエンツォ・フェラーリ博物館は共通入館券を設定するなど、これまでにも関連性をアピールし、観光客の便宜を図っていました。確か、日本国内でもトヨタ博物館が、やはりトヨタ関連の博物館であるトヨタ産業技術記念館との共通入館券を設定していました。
しかし今度のMOTOR VALLEY PASSPORTは、共通入場券とか割引制度はともかくとしても、その規模において遥かに大型化しています。例えて言うなら浜松辺りまでを含めた中京圏で、何か共通のパスポートをつくって運営していこうというもの。しかも博物館だけでなく、メーカーの工場見学からショールーム、さらにサーキットやレーシングスクールまで、多くの関連施設が一緒に活動していくわけですから、これは大きな力になるに違いありません。
そういえば日本自動車工業会の会長であるトヨタ自動車の豊田章男社長が提言されている、550万人の力を結集して……その手段のひとつとしても大いに意義のある行動になると思うのですが。いずれにしても、イタリアが羨ましいと痛感した取材行でした。