走行時はなるべく孤立することでリスクを減らす
ちなみに、とても44万km走行しているとは思えないほど外観が美しい状態に保たれているが、その理由を聞くと、
「フロントパンパーとリップは昨年再塗装しました。少し飛び石の傷が目立つようになったものですから。高速道路を走行する際は極力車間距離を取って飛び石が当たらないように気をつけているのですが、走らせている以上、どうしても多少は傷が付いてしまいますね。また前走車だけではなく、前後左右になるべくクルマがいない孤独な状態で走行するようにしています。これで事故などのリスクを少しでも減らせると思います」
そして3番目の信頼できる「修理工場」。オイル交換や定期点検では今もディーラーに入庫しているというが、主治医として地元の自動車修理工場が頼れる存在になっているそうだ。
「父の代からお世話になっている工場で、今は息子さんが二代目として引き継いでいます。タコメーターに不調を来たした際に相談しに行ったところ、いろいろと工夫してくださり、見事に直してくださいました。社長はR35GT-Rに乗られているのですが、決してGT-R専門店というわけではありません。国産・輸入車問わずどんな車種でも対応してくれる町の総合診療クリニック的な修理工場で、いろいろと試行錯誤しながら創意工夫をこらして対応してくれるのでいつも助かっています。ディーラーは基本アッセンブリー交換ですが、この修理工場は加工などの作業も得意なので、困ったことがあってもきっと何とかしてくれるという安心感があります」と吉原さん。
GT-Rに乗り続けるためには安全運転と健康管理も大切
2022年で66歳になるということだが、可能であれば80歳までこのR33GT-Rに乗り続けたいと今後の展望を語る。
「GT-Rに乗るときは紳士に振る舞わないといけないと個人的に思っています。安全運転でマナーを守るというのが大前提。これからも今までと同じようにずっと乗り続けていきたいですね」
予防整備には頼れる存在が不可欠。そして、自らもリスクをなるべく減らしながら心に余裕を持って走らせる。そこが44万kmをほぼノートラブルで乗り切って来られたゆえんなのだろう。
エンジン本体は一度も開けていない。カムカバーからのオイル漏れがきっかけでガスケット類はすべて交換済み。タービン/クランク角センサー/エアフロメーターを18万km走行時に交換して現在に至るという。
外観は18年前の購入時から基本的には不変。元々装着されていた社外のアルミホイール(ゴールドのBBS LM)は吉原さんのお気に入り。現在は2セット目を装着する。保安基準を満たすため前後にフェンダーモールを追加。
室内も基本的にオリジナル。本当は中期型の純正ステアリングに換えたいそうだがエアバッグレスになってしまうため我慢しているという。
これまでの整備記録はすべて保管。いつ何を換えたかがすぐにわかるように整理しておくことも、今後の部品交換タイミングを知るのに有効。
RB26DETTのサウンドが最高のBGM。運転中はいつもオーディオをOFFにしてGT-Rの鼓動を感じているそうだ。吉原さんの運転には適度なメリハリがあって、いかにもGT-Rが喜びそうな接し方をしていると感じた。
「GT-Rに乗るためにスクワットもしています。自分自身も健康でいないと長く付き合えませんから」と語る吉原さん。
エンジンオイル=3000kmごとの交換はGT-Rとしては一般的と言える。駆動系のオイルを9000kmと早めに交換しているのは、1万kmを超える前には換えたいということから決めているサイクルだという
18万km時に交換したというR33純正タービン。現在の2基目ですでに26万km使用。次に交換する際も純正タービンにしたいとのこと。
※この記事は2022年4月1日発売の「GT-R Magazine 164号」に掲載したものを元に再編集しています)