マツダ本社工場で機関まわりを実動状態に復旧
広島の渕崎工場で実車を見た山本は、その状態を見て完全レストアできると直感したという。山本は、初代ロードスターのレストアビジネスプロジェクトをリードしていることもあり、技術者たちと相談しまずは自走できるようにレストア作業をスタートさせた。
本社工場内の作業場に移動されたMX-81本体は、潰れてだめになったタイヤを新しいものに換装し、各部が丁寧にクリーンアップされていく。エンジン本体は、ヘッドカバーを外しカムシャフトチェックすると、想像以上にクリーンであることが確認される。しかし、水まわりはいくつかの箇所でリークが見られるため補修され、バッテリーは新品に。点火系、燃料系をひとつずつチェックしてフューエルポンプを復旧し、使えなくなっていた燃料タンクは綺麗に洗浄後に内部をコーティングのうえ、さらに予備タンクを新設した。しかし、ワンオフチューニングしたEGIを再稼働させることはできず、やむなくキャブレターとディストリビューター式に交換。ようやくエンジンは、息を吹き返すことに成功した。
灯火確認、走行チェックを経て、なんとか2020年3月には、レストアは完了。オランダ・アントワープに向けて船積みされている。
イタリアの工房で往年の輝きを取り戻した
その後イタリアに渡ったMX-81は、スーパースタイル社の職人によってさらに入念に復旧作業が施された。インテリアの本皮部分は手作りで作り直され、ボディパネルはゴールドに再塗装され、完全に1981年当時の輝きを取り戻している。マツダイタリアは、計画通りミラノ・ドゥオーモ前で39年前と同じ場所、同じアングルでMX-81を撮影し、最新鋭のMX-30とともに2ショットに収まった。
同車は、マツダイタリアのプロモーションに活用されたのち、2022年現在はドイツ・アウクスブルクにあるフライ・マツダクラシックミュージアム(Mazda Classic – Automobil Museum Frey)に所蔵されている。
【MAZDA MX-81諸元 ※1981年仕様】
サイズ:全長3940mm/全幅1690mm/全高1280mm/ホイールベース2385mm/Cd値0.29
エンジン:マツダE5型直列4気筒 EGIターボ/1490cc/インタークーラー付き/等長吸気管/132ps/5500rpm
サスペンション:前マクファーソンストラット/後ストラット
タイヤ:ピレリP6 185/60-14