好景気を反映した余力のなかで生まれた車種たち
クルマの本質的な性能に、新たな魅力を加えたという意味で、ホンダ・プレリュードもスペシャリティカーといえるのではないか。ことに1982年の2代目は、リトラクタブル式ヘッドライトを含め、前輪駆動(FWD)車とは思えない、ミッドシップカーのような外観が大きな魅力であった。
日産車では、シルビアが初代から特別な存在感を持った車種といえる。だが、セリカやプレリュードほど多くの人々に関心を寄せられることのないまま代を重ね、5代目のS13と型式名で呼ばれるクルマになって、一気に人気を高めた。簡素ながら魅了する造形の力と、後輪駆動(RWD)である点で、プレリュードとは別の魅力があった。この時代はセリカもFWDとなっており、5ナンバーでRWDという貴重な存在でもあった。
いずれのスペシャリティカーも、好景気を反映した余力のなかで生まれた車種であり、いずれも2000年以降に廃止となっている。余力を楽しむゆとりがクルマからなくなり、実用一点張りとなっていくのである。